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カテゴリ:読書案内 「茨木のり子・石垣りん」
石垣りん「私の前にある鍋とお釜と燃える火と」・「その夜」
(「石垣りん詩集」(童話屋)より) 前回、ご案内した最初の詩集から、表題作の「私の前にある鍋とお釜と燃える火と」と、巻末にある「その夜」です。 若かりし日の石垣りんです。思潮社の現代史文庫の裏表紙にあるプロ―フィール写真です。今日の案内は週刊 読書案内 石垣りん詩集「私の前にある鍋とお釜と燃える火と」(童話屋)のつづきです。 私の前にある鍋とお釜と燃える火と 石垣りんこの詩を読み返す2025年の今、男女平等が当たり前の考え方のような時代の中で忘れられていったのは劫初からうけつがれた火のほてりの前には母や、祖母や、またその母たちがいつも居た姿ではないでしょうか。そんなふうに思うのは、読んでいるボクが、ここに描かれている母や祖母の姿を記憶の底に持っている世代だからかもしれませんね。 しかし、生涯、母にはならなかった生活者石垣りんを支えたのが台所に立つ母の後ろ姿だったこと、そこから「女」という存在の在り方を考え続けたらしいことを思い浮かべるときに、昨今、世間で口にされるフェミニズムとかの、底の浅さを感じたりもするわけです。 で、そんな、30代だった石垣りんを苦しめたのは病でした。 その夜 石垣りん 30代の終わりに出版されたこの詩集の後半に載せられている数編の詩は彼女自身の闘病生活の詩です。結果的に生き延びることができた腰椎手術の経験が詩として残されたわけですが、「痛い」思いを実感したばかりのボクには実にリアルな作品群でした。 2025-no105-1178
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