エドワード・ラブレース「ぼくの名前はラワン」シネリーブル神戸
チラシの写真に惹かれて見ました。先日、耳の聞こえない父親を助ける少女のはなし「愛がきこえる」という作品を見たこともあって、今度は、聞こえない少年自身の物語らしいという興味もありました。 エドワード・ラブレースという、たぶんイギリスの監督の「ぼくの名前はラワン」です。
物語だとばかり思いこんで見たのですがドキュメンタリーでした。中東のイラクから難民としてイギリスに渡ってきたクルド人の一家の次男、ラワンくんがイギリスの王立の聾学校で「英語の手話」を会得していく過程と、「手話」という「ことば」を得ることで「こころ」を開いていく姿
を描いた作品でした。 どこか、遠くの星に逃げていきたかったラワンくんという少年が「この地球で生きる!」
という結論に達する、初めての友達や、彼を支え続ける先生との出会い、そして家族との出会い直しの姿は胸打つストリーでした。 ただ、見ていてわからないことが山盛りですね。まずはラワン君一家が難民としてイラクを出国する理由です。映画では聾者であるラワンくんに対する差別から逃れるための出国のよう描かれていますが、サダム・フセインの時代のクルド人迫害くらいしか知らないボクには、この映画がいつ頃のイラクのことなのかが、まずよくわかりません。
もう一つは、手話という話法は、それぞれの国によって違うということでした。だから、イラクからやって来た少年が英語の手話を理解する話者になるということが、そんなことも知らないのかと𠮟られそうですが、恥ずかしながら驚きでした。「愛がきこえる」のムームーちゃんとラワンくんは違う言葉を話しているということなのでしょうか?
そして、何よりもわかっていないことは、聾啞者の現実ですね。ラワンくんが風船に頬を当てて、先生の叩くドラムの音を「聴く」シーンがあります。ボクには、そこで、なにが起こっているのかわかっていないのですね。だからこそなのでしょうね、そのシーンは、少なくともボクにとっては「ドキッとする」体験でした。
実は、この秋、小学2年生になっているゆかいな仲間のユナちゃん姫から「手話の本が買ってほしい。」と頼まれて送りました。その時、大人向けの入門書を一緒に購入したのですが、ページを開くことさえしていないのですね。この作品を見て、とりあえず、あの本を開いてみようと思わせてくれたのが、ボクにとっては、この作品を見た価値だったように思います。知らないこと、わかっていないこと、いくつになっても何とかしたいじゃありませんか(笑)。 監督・脚本・製作 エドワード・ラブレース
製作 フルール・ニエッドゥ サム・アーノルド ベヤン・タヘル ニール・アンドリュース マリサ・クリフォード
撮影 ベン・フォーデスマン
音楽 トム・ホッジ
キャスト
ラワン・ハマダミン
2022年・90分・G・イギリス
原題または英題:Name Me Lawand
2026・01・16・no012・シネリーブル神戸no352