スヴェトラーナ・アレクシェーヴィッチ原作・熊谷雄太「チェルノブィリの祈り(4)」(白泉社)
2026年1月のマンガ便、第2弾でやってきたスヴェトラーナ・アレクシェーヴィッチ原作・熊谷雄太「チェルノブィリの祈り」(白泉社)の第4巻です。熊谷雄太によるコミカライズ完結編です。 第18話・第19話・第20話は「孤独な人間の声」と題されています。語るのはワレンチナ・チモフェヴナ・アパナセヴィチさん。チェルノブイリ事故処理に召集された作業員の奥さんです。お子さんがいらっしゃいます。生まれてすぐに病院に収容され、外に出ることを禁じられているお子さんです。面会に行かれると「パパはどこ」って、5歳のまなざしでお聞きになるお子さんです。事故から10年以上の年月が経っています。
第21話「人生を理解するには」を語るのは写真家の男性です。で、第22話「まったく未知なるものが忍びこみつつある」を語っているのはアナトリイ・シマンスキイというジャーナリストです。それぞれ、出来事を報道するという第三者の立場と視点の持ち主たちです。彼らを追いつめたのが何だったのか、ソビエト体制の社会に限らず、現代社会の真相が浮彫りになっていきます。
第23話「なにをなすべきか、だれが悪いのか」を語っているのはウラジミール・イワノフという党の地区委員会の第一書記の方です。政治家です。中央政府の命令に従い、地域のソビエトの団結を訴え、結局、なにを失ったのか。彼が発する最後の呻きがこのことばです。「わたしはただ自分の時代の人間なのです・・・・。犯罪者ではない・・・・。」
で、最終話、第24話の「見落とされた歴史」を語るのが、本書を世に問うたスヴェトラーナ・アレクシェーヴィッチさん自身です。
現場を歩き、多くの人の証言を記録していた彼女がたどり着いた言葉が、「わたしは未来のことを記録している。」
でした。
ボクには、彼女が予言しているのは全世界の人間の「未来」であると感じました。福島での大きな事故に遭遇し、この作品で証言している多くの人たちと同じ悲惨な体験されている方が、きっと、たくさんいらっしゃるということは、この国でも、やはり公にはされていません。いわば、偽りの解決の中で、各地の原子炉が再稼働しているのではないでしょうか。
これで、「チェルノブイリの祈り」(白泉社)、全4巻完結です。熊谷雄太による、このコミカライズ作品が多くの人に読まれて、ボクたちが安穏と暮らしている社会と時代への警鐘になることを祈ります。
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