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カテゴリ:読書案内「翻訳小説・詩・他」
リュドミラ・ウリツカヤ「子供時代」(絵ウラジミール・リュパロフ・沼野恭子訳・新潮クレストブック) 市民図書館のロシア文学あたりの棚を徘徊していて題名に目が留まって借りてきました。リュドミラ・ウリツカヤという女性の作家の「子供時代」(絵ウラジミール・リュパロフ・沼野恭子訳・新潮クレストブック)です。ウラジミール・リュパロフという人が絵を描いていらっしゃる絵本です。ただ、小説というか物語の内容に合わせた挿絵が描かれているのかというと、どうもそういうわけではなさそうです。小説は小説、絵は絵、というわけのようですが、まあ、読む人によるかもですが、ボクには、そこが、この本の、なんだかとても面白かったところの一つでした。 小説の内容は、下に目次を貼りましたが、それぞれの物語すべて、少年に限りませんが、ともかくも子供たちが、ほぼ、主人公として登場する六つのお話です。 例えば「釘」という物語の書き出しはこんな感じです。 で、お父さんはさっさと帰ってしまって、そこから、まあ、お婆さんはいらっしゃるのですが、ひいおじいちゃんとひ孫のあいだで「釘」をめぐる物語へとお話が始まるわけです。他の作品もそうなのですが、一つ一つの物語を読み終える度に、70歳を越えた老人は、静かに頷きたくなるんですね。 果たして子供向きに書かれている童話なのかと言えばちょっと違う気がしますが、「絵本」でもあって、表紙も裏表紙もそうですが、ウラジミール・リュパロフという方の、お話の内容とちょっと違う不思議な絵が数ページごとに出てきて、これがまたいいんですね。 1943年生まれのお二人の「お話」と「絵画」による「子供時代」、あの国では大祖国戦争と呼ばれた、第二次世界大戦の貧しい戦後を生きている子供たちの世界が、哀切に、しかし、生き生きと浮かび上がってきます。 こちらが裏表紙ですが、落書きはお二人の名前だそうです。 ボクは知りませんでしたが、リュドミラ・ウリツカヤUlitskaya,Ludmilaという方は1943年生れで、モスクワ大学(遺伝学専攻)を卒業して研究者だったらしいですが、1980年代頃から「ソーネチカ」(新潮クレスト)とかいう作品で脚光を浴びている人気作家のようです。最新作の「緑の天幕」(新潮クレスト)をはじめ、けっこうたくさんの作品が邦訳されています。 もっとも、プーチンのロシアでは戦争反対を呼びかけたことが理由で弾圧されている反体制作家だそうで、そのあたりも気になる方ですね。 とりあえず、「緑の天幕」(新潮クレストブック)を読み始めました。700ページを超える大作ですが、ただ今100ページあたりを通過中です。「少年時代」の子どもたちの世界が長編小説として描かれていて、傑作の予感に促されながら読みすすめています。 とりあえず、「子供時代」の目次を貼っておきますね。 2026-no020-1235
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