アンヌ=ソフィー・バイイ「私のすべて」シネリーブル神戸
今日は金曜日で、神戸の映画館は金曜日、土曜日がプログラムの変わる日なのですね。で、シネリーブル神戸なのですが、見ようかなと思ったのはこの作品だけでした。昨日見た河瀨直美さんの「たしかにあった幻」と同じような問題意識でつられている作品だと思うのですが、今日見たのは、アンヌ=ソフィー・バイイというフランスの若い女性監督の作品「私のすべて」です。 一応、世間で使われている言葉を使いますが、「知的障害」のあるカップルの妊娠、出産をめぐる物語でした。
ようするに、生まれてくる子供についての養育能力をめぐって、フランスという社会では、どんな考え方で、どんな判断を下すのだろうというのが、ドラマが始まってから終わるまでの興味の焦点でした。
ボクは、日本という社会で、この映画が描いている出来事について、この映画が描いている協同の思想、だからまあ、お互いの助け合いですね、そういう、本来、普通の考え方や行動がドンドン失われていっているという絶望感の中で暮らしていますから、この映画の結末は、映画という絵空事であるにもかかわらず、「こっちが、本当だよな!」
と、ホッとしながら見終えました。 映画は障害のある息子をシングル・マザーとして育ててきた女性モナに焦点を当てながら描かれていました。息子ジョアンが、職場で出会ったオセアンという、やはり障碍者である女性と愛し合い、彼女が妊娠したことから、二人で暮らして子供を育てるというジョアンの決意を、母親であるモナは受け入れることができません。そこからの、モナの葛藤の描写が映画のドラマの柱ですね。
モナの拒否感は、彼女が育ててきたジョアンが障碍者であるということに根ざしているように見えますが、ジョアンを育ててきたモナの30年の暮らしが、ジョアンにささげる愛の暮らしだったにもかかわらず、「ひとりぼっち!」
だったことの、彼女とジョアンにとっての「意味」を、一人立ちするジョアンの行動が根底から揺さぶっていることを描いているこの作品の監督はスルドイ!
ですね。 ジョアンとオセアンの間に生まれてくる赤ん坊にこそ、新しい出会いと愛の可能性の光があることを、なんとしても描こうとしたアンヌ=ソフィー・バイイという監督に拍手!でした。
今日は2月13日だったのですが、とてもうれしいことがありました。いつも、映画を見終えた後、ちょっとした感想を聞いていただく映画館のTさんという女性からチョコレートをいただいちゃったんですね。「バレンタインは明日ですけど(笑)」
この映画を見終えて会場を出ようとすると、ニッコリ微笑みながら差し出されたプレゼントだったのですが、こんな素敵なことがあるんですね(笑)。
映画の結末もよかったのですが、思い出に残る作品になりそうです。Tさん、ありがとう!
監督・脚本 アンヌ=ソフィー・バイイ 撮影 ナデル・シャルーブ
美術 クレマンス・ネイ
衣装 フロリアンヌ・ゴーダン
編集 カンタン・ソンブステイ フランソワ・キケーレ
音楽 ジャン・テブナン
キャスト
ロール・カラミー(モナ 母)
シャルル・ペッシア・ガレット((ジョエル 息子)
ジュリー・フロジェ(オセアン 息子の恋人)
ヘールト・バン・ランペルベルフ(フランク)
レベッカ・フィネ(ナタリー)
アイサトゥ・ジャロ・サニャ(セヴリーヌ)
パスカル・ダンカ(ガブリエル)
ジャン・ド・パンジュ(クリストフ)
2024年・95分・R15+・フランス
原題「Mon inséparable」
2026・02・13・no030・シネリーブル神戸no360