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カテゴリ:映画「シネリーブル神戸」でお昼寝
キリル・セレブレンニコフ「死の天使ヨーゼフ・メンゲレ」シネリーブル神戸 久々のナチス映画です。見たのは、キリル・セレブレンニコフというロシアの映画監督の、たぶん最新作「死の天使 ヨーゼフ・メンゲレ」です。原題は「Das Verschwinden des Josef Mengele」で、「ヨーゼフ・メンゲレの失踪」ですね。 アウシュヴィッツ収容所で「人体実験」を繰り返して、まあ、ボク程度の知識でも「ああ、あの人か…」と、名前を知っている医学者ですが、ナチス崩壊後、南アメリカに逃亡して生きのびた人物の逃亡生活を描いた作品でした。 「暗いだろうな・・・。」 まあ、そう、覚悟して見たのですが、情け容赦なしに暗くて圧倒されました。 「皆さんもご覧になったら、楽しいよ。泣けるよ。」 最近、そういう映画を観たがっている徘徊老人なのですが、まあ、真反対でした。しかし、映画としても、メンゲレの描き方としても、実によくできた作品だと思いました。 1940年代の、あの時代から202年代の今に至る80年の時間を重層化させた構成で、プロット、プロットでのモノクロ画面とカラー映像の使い方も、主人公、メンゲレの記憶、そして、その底にある思想性を抉り出す演出意図に基づくものであることを感じさせて、 「目をそむけたくなる美しいカラー映像」 が、監督の情け容赦のない断罪の意志を感じさせて ド迫力! でした。 映画は、今や歴史的存在であるヨーゼフ・メンゲレと、逃亡生活をしている父を探し出した再会する息子ロルフ・メンゲレという、「父と息子」の物語を枠組みとして描かれているのですが、メンゲレを演じているアウグスト・ディールという俳優さんも、息子のロルフ・メンゲレを演じているマックス・ブレットシュナイダーさんも、いいお芝居でした。 老いさらばえて、逃げ続けている父親を支えているのがアウシュヴィッツでの栄光の記憶であるということを知る息子、見ているこっちも驚くしかない「父と息子」の出会いと別れの物語には言葉がありませんでした。 最近、あれこれ見る映画の中で、わがままな自己主張を続ける、老いたる「父親」像に、自分を重ねて見ることがよくあるのですが、この作品の父親には、驚くばかりで、自分を重ねたりすることは、ちょっと無理でしたね。むしろ、和解の可能性に断念して去っていく息子の姿に同情しましたね。 というわけで、暗い気持で拍手!です(笑)。 帰り道、監督のキリル・セレブレンニコフという名前を呟きなおしていて、ようやく思い出しました。数年前に見て困惑した「レト」と「インフル病みのペトロフ家」の監督です。実は彼はプーチンのロシアでは弾圧の対象だったはずです。この映画も、たぶん、フランスかドイツで作っているようで、だから、これってドイツ語の映画ですよね。 で、やったと気づきました。 この情け容赦のない、批判的視線の向こうにあるのはロシアなんじゃないかって。そう思うと、いろいろ謎が解ける気がしますが、今、あれこれ言う力はボクにはありません。でも、この監督は見続けますね。拍手!です。 監督・製作・脚本 キリル・セレブレンニコフ 製作 シャルル・ジリベール イリヤ・スチュアート 原作 オリビエ・ゲーズ 撮影 ウラジスラフ・オペリアンツ 美術 ウラジスラフ・オガイ 衣装 タチアナ・ドルマトフスカヤ 編集 ハンスヨルク・バイスブリッヒ 音楽 イリヤ・デムトスキー キャスト アウグスト・ディール(ヨーゼフ・メンゲレ) マックス・ブレットシュナイダー(ロルフ・メンゲレ) デビッド・ルランド(ゼードレマイヤー) マルタフリーデリーケ・ベヒト ミルコ・クライビッヒ(アロイス・メンゲレ) ダナ・ヘルフルト(イレーネ) カーロイ・ハイデュク(ミクロス・ニースリ) ブルクハルト・クラウスナー(カール・メンゲレ) 2025年・135分・R15+・フランス・ドイツ合作 原題「Das Verschwinden des Josef Mengele」 2026・03・06・no045・シネリーブル神戸no364 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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