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カテゴリ:映画「キノシネマ神戸国際」でお昼寝
ティム・ミーランツ「決断するとき」キノシネマ神戸国際 これがどこの映画であるかとか、なにを描いているのかとか、まったく知らないで、チラシの男性の顏をなんとなく覚えているという、ただ、それだけの興味で見はじめて、しばらくは、なにが起こっているのかわからないまま、後半に入って、修道女が主人公に大金を渡すあたりで、漸く輪郭が判り始めて、見終えて唸りました! 見たのはティム・ミーランツという、たぶん、アイルランドの監督の「決断するとき」でした。 ボクが唸ったのは、悩みに悩んだ主人公ビル・ファーロングの悩みに悩んだ末の「決断」のこころの奥を、ほとんど喋らない無口で、無表情な顔と、「手を洗う」シーンで描いて見せた映画作法の卓抜さと、それを見事に演じてみせているキリアン・マーフィーという役者さんのお芝居が、まず、 ボク好みであった!ことが理由です。 加えていえば、ラストシーンの描き方も、 お見事!というしかありませんでしたね。実に抑制が効いていて、働き者の生活者である主人公の苦悩の「決断」を、実にリアルに静かに表現して暗転だったところです。 そういえば、ビルを演じているこの方、まあ、気づくのが遅いですが、クリストファー・ノーラン監督の「オッペンハイマー」でお出会いしたことがあったんですね。演技のレベルの高さは、ボクなんかがいう必要はありませんね。向こうの方はキリアン・マーフィーという名前を聞けば誰もがうなづく 名優なんです、きっと(笑)。で、しかし、唸りながら、気になったことがありました。というのはこの映画の背景でした。1980年代のアイルランドが舞台です。調べ始めてみると、迂闊なことに全く知らなかった「マグダレン洗濯所事件」という歴史的事件にたどり着きました。 驚きました! 映画の中で石炭屋さんであるビルが、配達に行った修道院の石炭置き場の物陰から目撃したのは修道院という名の強制収容所で起こっている現実だったんですね。 「イヤァー・・・・、助けて、パパ!」 修道院に引きずり込もうとする母親の手を振り払い、乗せてきた自動車から出てこない父親を呼んで泣き叫ぶ少女の姿。ドアが開き中から差し出される修道女の手。 見ているボクには、いったい何が起こっているのか、その時には分かりませんでした。 「うちの娘たちは大丈夫だから。」 夫ビルを諭すようにいう妻アイリーンのこのことばの意味も。 で、この美しい修道院で行われている強制収容の事実と、その街に暮らす、善意に溢れる人たち誰もがそのことを知っているという事実が浮かび始めて 仰天でした。 ビルが考え込んでいる理由、しきりに汚れた手を洗いたがっている描写、 で、この作品がクレア・キーガンという、ボクは読んだことがありませんが、巷ではよく読まれているらしい「ほんのささやかなこと」(早川書房)という原作があることも、ようやく気付きました。読むしかないですね。 先日見た「そして彼女たちは」という映画での未婚で出産した女性の姿の描き方も、ヨーロッパのキリスト教社会を背景にしているわけでしょうね。なんだか、しんどい話なのですが・・・・。 それにしてもビルを演じたキリアン・マーフィ、監督のティム・ミーランツには拍手!です。 監督 ティム・ミーランツ 製作 アラン・モロニー キリアン・マーフィ キャサリン・マギー マット・デイモン ドリュー・ビントン 原作 クレア・キーガン 脚本 エンダ・ウォルシュ 撮影 フランク・バン・デン・エーデン 美術 パキー・スミス 衣装 アリソン・マコッシュ 編集 アラン・デソバージュ 音楽 センヤン・ヤンセン キャスト キリアン・マーフィ(ビル・ファーロング) エミリー・ワトソン(シスター・メアリー) アイリーン・ウォルシュ(アイリーン・ファーロング) ザラ・デブリン(サラ・レッドモンド) ミシェル・フェアリー(ウィルソン) クレア・ダン(シスター・カーメル) ヘレン・ビーハン(ケホー) 2024年・96分・G・アイルランド・ベルギー合作 原題「Small Things Like These」 2026・04・06・no064・キノシネマ神戸国際no61 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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