|
カテゴリ:読書案内「翻訳小説・詩・他」
リュドミラ・ウリツカヤ「それぞれの少女時代」(沼野恭子訳・群像社) 「子供時代」(新潮クレストブックス)、「緑の天幕」(新潮クレストブックス)、「ソーネチカ」(新潮クレストブックス)と読み継いできたリュドミラ・ウリツカヤですが、今回は「それぞれの少女時代」(沼野恭子訳・群像社)です。 下に目次を貼りました。全部で6篇の作品集です。 主人公はすべて少女です。「他人の子」と「捨て子」という冒頭の2作はガヤーネとヴィクトリヤという双子の姉妹のお話ですが、残りの4作は、それぞれの作品に同じ名前の人物が出てくることもあって、誰が主人公というふうに言い切れない登場の仕方です。 4作目に「その年」とありますが、1953年、あのスターリンが死んだ年です。三月二日というのは、彼の命日は三月五日ですから、その二日前が舞台です。 この本にまとめられた6作は、それぞれ、今から70年ほど昔、10代の半ばだった少女たちのお話です。 ウリツカヤという作家は1943年生まれで、2026年現在、83歳で御存命の方ですが、登場人物たちは彼女とほぼ同い年、付け加えればボクより10歳ほど年上で、 1950年代のソビエト・ロシアで暮らした少女たち。 ボクはという関心の持ち方ですが、そのあたりのことも気になって興味深く読み終えました。 読みながら引き込まれるのはこんなところでした。
革命後のロシアという社会におけるユダヤ人の生活という、小説の時代、社会における背景が描かれている、こういうところですね。 ボクがロシアの小説とか映画とかに惹かれる理由の一つはドストエフスキーやチェーホフが描いてきた帝政だったロシアという社会が、革命によってどう変わったのかという関心に始まっています。たとえば、若い頃のボクがロシア革命で最も興味をひかれた革命家トロツキーはユダヤ人でしたね。で、彼の暗殺に奔走したスターリンはグルジア出身です。今のポーランド、ウクライナからグルジアあたりというのはシオニズムという思想の生まれたところだったと思いますが、興味を惹かれるのはソビエト・ロシアという社会でのユダヤ人の暮らしですね。 今では、プーチンのロシア共和国の弾圧を逃れてドイツに亡命しているウリツカヤという、この女性作家はユダヤ系に限らず、様々な出身地を故郷にする子供たちの暮らしを繰り返し描いています。そこが面白いですね。 まあ、ちょっとズレた読みかたかもしれませんが(笑)。 2026-no043-1258
追記 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[読書案内「翻訳小説・詩・他」] カテゴリの最新記事
|