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ゴジラ老人シマクマ君の日々

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2026.04.18
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リュドミラ・ウリツカヤ「それぞれの少女時代」(沼野恭子訳・群像社) ​「子供時代」(新潮クレストブックス)、​「緑の天幕」​(新潮クレストブックス)、​「ソーネチカ」​(新潮クレストブックス)と読み継いできたリュドミラ・ウリツカヤですが、今回は「それぞれの少女時代」(沼野恭子訳・群像社)です。
 下に目次を貼りました。全部で6篇の作品集です。​
主人公はすべて少女です。
 ​「他人の子」「捨て子」という冒頭の2作はガヤーネとヴィクトリヤという双子の姉妹のお話ですが、残りの4作は、それぞれの作品に同じ名前の人物が出てくることもあって、誰が主人公というふうに言い切れない登場の仕方です。
 4作目「その年」とありますが、1953年、あのスターリンが死んだ年です。三月二日というのは、彼の命日は三月五日ですから、その二日前が舞台です。
 この本にまとめられた6作は、それぞれ、今から70年ほど昔、10代の半ばだった少女たちのお話です。
ウリツカヤという作家は1943年生まれで、2026年現在、83歳で御存命の方ですが、登場人物たちは彼女とほぼ同い年、付け加えればボクより10歳ほど年上で、​
1950年代のソビエト・ロシアで暮らした少女たち。
​ ボクはという関心の持ち方ですが、そのあたりのことも気になって興味深く読み終えました。
 読みながら引き込まれるのはこんなところでした。​
 この時代には根強い習慣というものが出来上がっていて、タタール人はタタール人と仲良くなり、成績が中くらいの生徒は中くらいの子と、医者の子供は医者の子供と仲良くなった。ユダヤ人医師の子となると、なおさらそうだった。こんなくだらない、おかしなカースト制度は、古代インドにだってなかっただろうに。リーリャは友だちができず、ひとりぼっちだった。近所に住んでいるターニャ・コーガンはユダヤ人の医者の子だけれど、両親が、新年までという予定でリガの親戚の家に遣ってしまったので、この二ヵ月本当につらかった。
 ふいに笑い声が湧き起こったり、騒がしくなったり、ひそひそ声が聞こえてきたりすると、リーリャはどれも自分に向けられているような気がした。何か暗いざわざわ、ジュージューという音がまわりで聞こえると、褐色の虫(ジューク)のような「ジ」の音が「ユダヤ人(ジード)という言葉から這いだしてきたのではないかと思った。それになんといっても一番つらいのは、この暗くてべとべとして松ヤニのようなものが、自分の苗字「ジジモルスカヤ」や、曾祖父アーロンや、皮の匂いのする曾祖父の本や、蜂蜜やシナモンの東洋的な匂いや、曾祖父の寝ている部屋の左側の隅を照らしいつも曾祖父を包んでいる金色の光と無縁ではないらしいということだった。(P116「その年の3月2日・・・」) 
 革命後のロシアという社会におけるユダヤ人の生活という、小説の時代、社会における背景が描かれている、こういうところですね。
 ボクがロシアの小説とか映画とかに惹かれる理由の一つはドストエフスキーチェーホフが描いてきた帝政だったロシアという社会が、革命によってどう変わったのかという関心に始まっています。たとえば、若い頃のボクがロシア革命で最も興味をひかれた革命家トロツキーユダヤ人でしたね。で、彼の暗殺に奔走したスターリングルジア出身です。今のポーランド、ウクライナからグルジアあたりというのはシオニズムという思想の生まれたところだったと思いますが、興味を惹かれるのはソビエト・ロシアという社会でのユダヤ人の暮らしですね。
 今では、プーチンロシア共和国の弾圧を逃れてドイツに亡命しているウリツカヤという、この女性作家はユダヤ系に限らず、様々な出身地を故郷にする子供たちの暮らしを繰り返し描いています。そこが面白いですね。
 まあ、ちょっとズレた読みかたかもしれませんが(笑)。
目次
他人の子 
捨て子 
奇跡のような凄腕 
その年の三月二日・・・・・
風疹 
かわいそうで幸せなターニカ
訳者あとがき
2026-no043-1258



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最終更新日  2026.04.30 17:39:42
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