ハイメ・パセナ2世「この場所」元町映画館
東日本大震災から10数年たった陸前高田という町を舞台にした映画らしいというという理由で見ました。
ハイメ・パセナ2世というフィリピンの監督によってつくられたらしい「この場所」という作品です。 ハイメ・パセナ2世という監督は「陸前高田アーティスト・イン・レジデンスプログラム」という企画にアーティストとして滞在したことをきっかけに、以後、10年以上にわたり、陸前高田市の地域の人と交流を深めて、この作品に至った方だそうです。
映画の筋書きよりもカット、カットで挿入される、例えば下に貼った「奇跡の一本松」や巨大な防潮堤をはじめとする陸前高田の風景や、伝承館の展示、震災の映像が印象に残った作品でした。
父親の葬儀で初めて出会う母違いの姉妹。父親が去ったフィリピンで暮らす姉のエラ、27歳、と、陸前高田で父親っ子として育った妹のレイナ、20歳の画学生の「父をめぐるこだわり」が、二人のこころのぶつかり合いとして描かれている物語でした。
姉妹を演じた二人の女優さんの素直で真剣そのものの演技には好感を持ちました。しかし、最初から最後まで、二人のこころの焦点にいるはずの父親像が浮かんでこない物語としての説得力には少々難があったと思います。
血の繋がりがあろうがなかろうが、震災の地、陸前高田の「この場所」で「わかり合えないと思っていた」
二人の異国そだちの女性が、新しい絆を見つける物語として描きたい製作者の気持ちには好感を持ちました。拍手! おそらく、震災からの復興、再生のプロジェクトとして被災地の人たちとフィリピンのアーティスト、映画関係者が協力してつくった合作作品
としてこの作品が生まれたんだろうなという雰囲気が作品の至る所で感じられて、その作品がフィリピンでは高く評価されているらしいということをうれしく思いました。拍手!
監督・脚本 ハイメ・パセナ2世 撮影 ダン・ビレガス
編集 マーヤ・イグナシオ
音楽 レン・カルボ
主題歌 まっと
通訳 今井杉子
キャスト
ギャビー・パディラ(エラ)
中野有紗(橋本レイナ)
二階堂智(安倍左太)
市川シェリル(マイタ)
薬丸翔(西)
片岡礼子(橋本あつ子)
安藤ネリーサ
金野政利
森山茂雄
村上新一
2026年・86分・G・日本・フィリピン合作
原題「This Place」
2026・05・12・no090・元町映画館no366