坂西未郁「メモリィズ」キノシネマ神戸国際
チラシが出始めたときから、まあ、数少ない贔屓の男優さん(笑)である柄本佑君が主役らしいということで気になっていたのですが、微妙な時間帯の上映で見落としそうになりながら無事見ることができました(笑)。 坂西未郁という、名前に覚えのない監督の「メモリィズ」です。
坂西未郁という方は「みいく」と読む名前らしくて、女性かな?と思っていましたが、石井裕也監督の「愛にイナズマ」という映画の助監督だった方らしくて、1992年生まれだそうですから35歳くらいの男性でした。監督初挑戦!の作品のようです。
で、映画ですが、とてもよかったですね。
一枚目のチラシの裏に、いろいろ書いてあります。映像について考え抜いた繊細さとでもいえばいいのでしょうか。 大好きな人を明日も忘れないために。
この気持ちをいつか思い出すために。
とめどなく続く、家族の記憶と記録の物語。
チラシの言葉です。 スクリーン自体も、普段見ている映画よりも少し小さいのが印象的ですし、主人公の雄太さんが一人暮らしで骨折するという難儀に陥った義理のお父さんの世話を引き受けて、フェリーに乗って大分にやってくるという始まりです。で、その義理の父親である誠さんが、写真館の御主人で、写真屋さんなんですね。で、上のチラシにある写真もそうですけど、スクリーンに写真が出てくるんですね。
この写真は写真機で撮ったものですが、映画は、それで終わりじゃなくて、このボクでも時は撮るスマホでの写真や、スマホでの交信の映像も出てきます。 そのあたりの組み合わせの妙というか、「メモリィズ」と題して、記憶のはじまる瞬間にいどむ!
そういう、印象がとても心地が良くて、いかにも新人監督らしい初々しい意欲に静かに感動しながら、興味深く見終えました。拍手!
で、お目当てだった雄太役の柄本佑君ですが、存在感としては誠さん役のイッセー尾形さんの安定感(もちろん役を演じる)とか、毎朝、散歩に連れて行く誠さんちのワンちゃんの方があるようなもんですが、大体、義理とはいえ父親の生活の世話に大分くんだりの知らない田舎までやって来ていて、どうも、宿は別に取っていての通い介護らしくて、親しんだか、遠慮しているんだかよくわからない頼りなさで、その、彼の中に漂い続けるよそ者的なふわふわ感が実にいいんですよね。
たとえば、買い物して誠さんの家に来ると、台所の冷蔵庫の前で叫ぶんです。「冷蔵庫あけます!」
最初、その声を聞いた時には「義理の親の家っていうとそういうもんかな?」と思ったんですが、だんだん、それがこの男の、この映画でのキャラなんだと気づいて、笑いました。
柄本君、尾形さん、ああ、ワンちゃんも、牧場のお馬さんも、よかったですね。拍手!
で、この映画の映像で忘れられないのが山焼きのシーンでした。もう一枚のこのチラシにも貼られていますが、事故とか火災とかじゃなくて、そのあたりの山の暮らしのその時期に、毎年、毎年、何年も続けられてきた光景を、久しぶりに再会した家族4人がそれぞれの思いで見ているシーンでしたが、たしかに記憶に残る映像でした。「メモリィズ」、納得です。拍手! 監督・脚本 坂西未郁
企画 孫家邦
撮影 鎌苅洋一
写真 江森康之
音響 黄永昌
編集 普嶋信一
音楽 小島央大
タイトルデザイン 葛西薫
キャスト
柄本佑(雄太)
穂志もえか(ゆき)
イッセー尾形(誠)
梅沢昌代
伊佐山ひろ子
成田裕介
占部房子
香椎由宇
2026年・97分・G・日本 リトルモア
2026・06・29・no126・キノシネマ神戸国際no65