フランコ・ガルシア・ベセラ「雲と大地のはざまで」元町映画館
南米の田舎の村の映画、きっと、そうだろうと思って見ました。そうでした!(笑)。
フランコ・ガルシア・ベセラという、多分、ペルーの監督の「雲と大地のはざまで」という作品です。
ペルーの山の中の小さな村で忠犬ランボーとアルパカの子供のロナウドが友達で、毎日、二十数頭のアルパカの放牧を仕事にしている、多分、小学校4年生くらいの少年フェリシアーノ君が主人公でした。 で、少年がアルパカを追って歩き回っている高原の向こうにそびえるアンデスの山々と青空を流れる雲という、文字通り神々しい風景が、まず、素晴らしかったですね。
あたかも主人公の少年を天国で遊ぶ天使であるかのように思わせる風景がスクリーンに広がります。でもね、実は、彼は、小学校も廃校になってしまった村に、ひとりぼっちで残された孤独な少年なのですね。
一緒にサッカーボールを蹴り合ったり、取っ組み合いをしたりしていたはずの友達の家族は、おそらく、金をばらまいて住民を追い出しにかかる鉱山業者に土地を売り、アルパカを手放して町へ降りてしまったんでしょうね。村には、少年の両親と近所のジーちゃんバーちゃんたちだけが「土地」と「アルパカ」のいる暮らしにとどまり続け、開発業者と争っています。
今や、この神々しい山並みのアンデスの山奥も現代社会なのですね。中国の最奥の土地からスマホをかける青年を映した映画を見たことを思い出しました。アンデスのこの映画では、フェリシアーノ君が持っているのはラジオで、大好きなサッカーの実況中継を見るためには町まで下りなければならないというわけでしたから、あれより、もっと奥地というわけです。
で、開発業者によるのであろう襲撃があって、数頭のラマの首がはねられ、一人ぼっちの少年の友だちであるランボーとロナウドが行方不明になってしまうという、ハラハラする展開で、二匹の友だちを探す少年の姿に「なんとかしてやりたいなあ。」
と思っていると、一人のおばーちゃんが少年に言うのです。「あの、いつもは恐ろしい山の神に祈りなさい!」
神さまの名前も聞いたのですが、残念ながら忘れちゃいました(笑)。で、少年はおばーちゃんの言葉に従い、山に入り、山の神に捧げものをします。すると、大きな黒い雲が押し寄せてきます。 翌朝、目をさました少年は友だち二匹と再会し、捧げものがいつの間にかなくなっているシーンが映し出されます。なにはともあれ、よかった、よかった!(笑)
でした。拍手!
この映画、原題が「Raíz」なんですね。スペイン語で「根っこ」のことらしいのですが、この作品が描こうとしている「根っこ」ってなんでしょうね。 アンデスの美しい風景を堪能させながら、サッカーに夢中な少年に人里離れた山の暮らしの奥に潜む「根っこ」の存在をそっと教えるかの作品を撮ったフランコ・ガルシア・ベセラ監督に拍手!でした。
それから、少年を演じたアルベルト・メルマ君、ラマのロナウド君、ワンちゃんのランボー君、よかったですねえ(笑)。拍手!
監督 フランコ・ガルシア・ベセラ
脚本 アンヌマリー・グンケル アリシア・キスペ
撮影ジョン・カラスコ
編集 フランコ・ガルシア・ベセラ フアン・フランシスコ・ゴンザレス
キャスト
アルベルト・メルマ(フェリシアーノ 少年)
ネリー・ウアイタ
リチャード・タイペ
2024年・83分・G・ペルー・チリ合作
原題「Raíz」
2026・07・11・no134・元町映画館no385