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カテゴリ:映画「シネリーブル神戸」でお昼寝
濱口竜介「急に具合が悪くなる」シネリーブル神戸 映画の製作が伝えられて以来、ずっと待っていました。ところが、カンヌで主演女優賞をとったとか、話題が盛り上がってしまって先週の封切り以来、神戸でも満員御礼状態で、席が空くのを待っていました。 で、遂に、見ました。濱口竜介監督の「急に具合が悪くなる」。196分の大作でした。 はい、文句ありません!(笑)エンド・ロールを眺めていて 現代資本主義講座やんな、これ! あっという間の3時間でした。集中講義でした(笑)。茶化しているのではありません。 濱口監督のお手柄はフランスの人と日本の人をフランスという舞台で出合わせたことでしょうね。映画が描いている、国境、性別、年齢、価値観、これを、それぞれ個別の社会の現実として描いていたら、ボクはこんなに胸うたれたでしょうか? 「そうはいっても、やっぱりむずかしいよ。」 見終えて劇場を出るときに、ほぼ、同世代の男性が、ご一緒に見ていらっしゃったパートナーらしき女性に、そうおっしゃっている声が聞こえてきて、思わず振り返りました。たしかに、むずかしいですね。 しかし、路面電車の車中から走っている少年、智樹君を見かけたマリーが電車を降りて彼の後を追い、じっと彼の顔を覗き込むように近づいていく最初の出会いのシーンの驚きは「むずかしい」でまとめたくないなというのがまあ、感想その1でした。 あのシーンでマリーは何をしたのでしょう。ボクには、あのシーンのマリーの姿に、人と人を「個」として切り離すことで成り立っている「現代社会」に対するこの監督のアンチ・テーゼ、 「人と人が出会うこと」が率直に、且つ、美しく描かれていると感じられました。 で、感想その2は、劇中劇、シアターライブに対する拍手!です。これまでも、繰り返し演劇的場面を映像化してきた濱口監督だからできた手法ですね。ボクは長塚京三という俳優のスクリーンに映る演技が嫌いでしたが、今回、この作品では舞台を演じる役者の姿も、孫と暮らす、よろつきながら歩く老人としての姿も、心うつ演技で納得させてくれていますね。 演劇そのものの舞台と観客との距離を、映像化という手法以前に演出的にも引き寄せようとする意図はあきらかで、マリーと少年との出会いを反復するかのように「演じる人」と「見ている人」とを同じ劇的空間に招来しようという劇中劇に、ちょっと興奮しました。拍手! その3は、やっぱり主演のお二人とか、智樹君を演じた黒崎煌代くん、ベテラン看護師役のマリー・ビュネルさんですね。拍手! この映画は、何だか理屈っぽい展開を、ジーちゃんバーちゃんをはじめ、登場する俳優さんたちの姿を人間が猫とか犬とかと同じ生きものであるという自然な存在として映像化しているところがスゴイですね。 お互いの足の裏をいじり合い、気持ちよさそうにゴロゴロしている老人の姿によって未来に対する希望を描くことができるという確信が濱口監督にあるんですね。拍手!拍手!でした。 久しぶりにキャピタリズム=資本論という言葉と出会って、しみじみしてしまいました。そんな言葉を口にすると、今でサヨクとかいう、罵倒の標的ですからね。必要性が叫ばれ続けているにもかからず劣悪な給与体系のせいで人手不足に悩む介護や看護の現場。病者や障碍者に対する美しいいたわりのきまり言葉がネット上で上滑りする健常者優先社会。スマホを覗けば世界の現実は手に取るように見ることができて、わからないことは何でもポケットの中のAIが教えてくれるという錯覚の中で、「自己肯定」とか「自己責任」とかいう、他者不在の世界認識が蔓延している、一見、平和な世の中。 どこか、おかしい・・・ それが、我々の世代が、今、高齢者と呼ばれるようになってたどり着いた現実です。そういう、「どこか、おかしい」時代の中で、こんな作品を差し出してくる濱口竜介監督に、もう一度、拍手! ようやく、 濱口竜介はいいよ!にたどり着きました(笑)。 監督・脚本 濱口竜介 原作 宮野真生子 磯野真穂 脚本 ルディムナ玲亜 撮影 アラン・ギシャウア 美術 ミラ・プレリ 衣装 カロリーヌ・シュピート 編集 山崎梓 音楽 サミュエル・アンドレイエフ キャスト ビルジニー・エフィラ(マリー=ルー・フォンテーヌ 高齢者介護施設介護士) 岡本多緒(森崎真理 劇作家) 長塚京三(清宮吾朗 俳優) 黒崎煌代(窪寺智樹 清宮の孫) ジャン=シャルル・クリシェ(オリヴィエ) マリー・ビュネル(ソフィ 看護師) ロマン・コタール(ダミアン 介護士) マリー・ドゥナルノー(ロランス) ガブリエル・ダマニ(ジブリル) エロイーズ・ジャンジョー(ヴァネッサ) セフォラ・ポンディ(アディジャ) ハイディ・ベッカー=バベル(マリオン) 2026年・196分・G・フランス・日本・ドイツ・ベルギー合作 2026・06・26・no123・シネリーブル神戸no391
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