佐藤広一「マダム・ソワ・セヴェンヌ」元町映画館
チラシで題名の「マダム・ソワ・セヴェンヌ」を見ても何の見当もつきませんでしたが、あてずっぽうで見てびっくりでした。 日仏の絹織物の歴史、養蚕の歴史、桑畑から、蚕の卵、製糸、染織、布が出来ていく過程を丁寧に、しかも、美しく描いたドキュメンタリィーです。
見たのは佐藤広一監督の「マダム・ソワ・セヴェンヌ」です。
セヴェンヌというのがフランスの地名で、そこで取れた繭が、ルイ王朝時代、18世紀のロココ文化の王宮の衣装の原料だったという出だしから、独特な白さが輝くような美しさのセヴァンヌ種の繭のルーツが日本だったこと。明治以降、近代日本の経済を支えた「絹」の歴史。あの富岡製糸場の来歴。そういえば、富岡製糸場の親会社である片倉製糸の大きな倉庫が、ボクの故郷の町、当時、国鉄だった和田山駅の近くに棟を連ねてが立っていたことを思い出したりしました。
全く、個人的な思い出ですが、1950年代から60年代にかけて、ボク自身が、まだ、小学生になるかならないかくらいの子供だった頃、兵庫県の但馬地方でも養蚕は農家の重要な、多分、現金収入で、ボクの家でも桑畑があり、住居の二階は吹き抜けで、養蚕場でした。
映画を見ていて、何層にも重ねられた蚕棚に桑の葉を並べるのを手伝った記憶や、出荷から除外された汚れた繭だったのでしょう。「繭さんをにーにしようなあ。」
と孫をあやしながら大鍋で煮立てて糸を取っていた祖母の姿がありありとよみがえってくる映画体験でした。
「絹」の歴史をめぐるドキュメンタリィーでしたが、ボクの中で忘れていた幼い日の記憶が揺さぶられるというに面白さで見入りました。拍手! 監督 佐藤広一
プロデューサー 細尾真生 髙橋卓也
音楽 小関佳宏
ナレーション 坂東玉三郎
制作 川﨑仁美
キャスト
下山菊夫(養蚕家)
ミッシェル・コスタ(養蚕家)
高松秀徒(染師)
リシャール・コラス(ココ・シャネル日本法人元会長)
2025年・87分・G・日本・フランス合作
2026・08・04・no145・元町映画館no388