週刊 読書案内 池澤夏樹「いつだって読むのは目の前の一冊なのだ」(作品社)
池澤夏樹「いつだって読むのは目の前の一冊なのだ」(作品社) 昔から、書評とかブックレビューいうのが好きだったんです。で、市民図書館の棚を見ていると、2019年の初版なのに、新入荷の棚に、デン!と座っていたのがこの本です。その分厚さと、何と言っても、この書名に惹かれました。 池澤夏樹「いつだって読むのは目の前の1冊なのだ」(作品社) 今は、書評というのか、レビューというのか、まあ、よくわからないのですが、小説家の池澤夏樹が「私の読書日記」と題して2003年から2019年までの16年間、週刊文春という週刊誌に連載していた444冊の書評、本に関するコラムを1冊にまとめた本だそうです。 腰巻の広告というか、キャッチ・コピーによるとそういうことなのですが、実際に手に取ってページを繰り始めてみると、小説、エッセイはもちろんですが、歴史書、科学書、絵本から児童文学、写真集まで、ほぼ、700ページ、表題になっている本は、たしかに444冊なのでしょうが、1冊について、多ければ数冊の関連本を話題にして語っているわけで、平均すれば、1ページに1冊、ほぼ、700冊を超える書名がこの本の中には出てくるのです。すごいでしょ(笑)。で、どんなほん? まあ、まず、そう思いますよね。で、ネット上の紹介記事を見ていて気付いたのですが、あまりの多さに、どんな本の紹介、書評が書かれているのかわからないのです。目次も、多分、あまりの多さののせいでしょう、掲載されていません。困りますよね。 そこで、調子乗りのシマクマ君の出番です。目次を写して読書案内すればいいじゃないか。 というわけで、目次を写しはじめたのです。 こんな感じです。目次を読むだけでも大変です(笑)が、お付き合いいただけるでしょうか。目次 : はじめに2003年001 伊良子清白、星野道夫、絵本など002 海賊船の子供、複言語の時代2004年003 ヒトの手と歯、数学の天才、詩人たち004 ハイチとアフガニスタン、今の日本語005恋と歴史と日露戦争006 兵役とアルファベットと住所、映像の力007 移住者、クレオール、日本史への挑発008 生理レベルの快感、消費生活、網野史学009 医師と銃、ルポルタージュの水準010 科学者の感情、パルテノン、赤いキリスト011 アボリジニの歴史観、野生の旅路、技巧の短歌2005年012 理科年表、四色問題、コンクリート 013 武装解除の技術と二重国籍014 カナダの作家、イタリア御作家、狂牛病015 アメリカの先住民、カタコトの響き、知識人016 チェーホフの恋、画家たちの恋017 家庭新聞とカレーソーセージ、等質性018 戦争の伝説化、沖縄戦、渓流の風景019 大西洋、烈女の大活躍、ブレスレット020 戦後の雰囲気、戦後の思想、好きな建物021 常識転覆、ロンドン便り、架空飛行2006年022 ロリータ、神話朗読、脱神話の小説023 母語と敵語、性の地獄、楽天的024 地球を測る、父の肖像、スローフード025 映画のサイード、地中海、スナネズミ026 バラ再び、こども哲学、小説の文体027 ロシアの森、人体の設計、卓抜な比喩028 クマムシ、昆虫の脳、キノコ図鑑029 爆撃機の幽霊、かわいい猿、情報と調理030 速い小説、幕末と維新、悪口2007年031 現代建築、漂流、フランス人032 旅する思想、肩すかし、宇宙論033 老いた作家、南仏、アフリカの神034 椅子と椅子、それに民家035 作家の自画像、器械、味覚のことば036 アメリカ文明、モスラ、海の中の旅037 イラク、「すばる」、火星を走る038 ナイジェリアとアメリカ、牛を飼う、豆腐039 ビルマ、シベリアの記憶、声の詩集2008年040 樺太の旅、私小説、宗教と科学041 火星の日没、岩壁を登る、アニ眼042 美しい骨格、幼年期、深海生物043 詩を読む、弔辞を読む、宇宙エレベーター044 地学論争、ホビットはいたか、北の自然045 核の廃墟、Uボート、冒険島046 責任の所在、ロンドン、博学の人047 ヴェトナムのカメラマン、女性軍医の日記048 モノの質感、サンパウロ、老作家の怒り2009年049 金魚、言葉のセンス、変な博物館050 万民のための南極文学入門051 アップダイクと自戒、幸福と喪失、ポスト戦後052 戦争とスパイと少年、ジュールヴェルヌ、遠い土地053 ブルターニュの死者たち、綱渡り、旅するアフリカ054 環境世界、トニ・モリスン、明治の函館055 ブタを飼う、詩の束、哈爾賓056 遠距離家族、木の戦略、怪力乱神2010年057 数学の天才、偶然という罠058 正しい医学、怪しい医学、緩やかな時間059 アフガニスタンという鋳型、祖父母の怪談060 大胆な歴史小説、進化と生命、ミクロの世界061 砂漠の絵、粘菌の問題解決、再編集された『今昔』062 凍死した兵士たち、野菜また野菜、雲の行き来063 写真は語る、夫婦バトル、子供向けの詩064 クマがたくさん、作家の人望、数字の読み方065 我が妬み、アフリカへの旅、空襲とスズメ2011年066 フランスのコミック、山田風太郎、植物図鑑。067 ホッキョクグマ三代記、動物の行動、樹皮068 牧畜少年小説、箱を作った男069 チェス、中国系、キューバへ行こう070 メキシコの壁、ルーヴルの地下、変人たち071 浸水範囲、「降れ降れ」、江戸の自由人072 灯台の少女と動く灯台073 ペンキを塗られた鳥、普天間、沖縄074 原発、普天間、沖縄075 アラブの春、炭坑、パスタの歴史2012年076 詩人のダイヤグラム、雪のダイヤグラム、宇宙077 デザインの思想、地史の証拠、詩と死078 津波、座談の達人、昔話の達人079 今どきの歎異抄、キノコ、密室トリック080 ヤンキー、うまい短編、気持ちのよい詩081 死の詩、古典あそび、津波の後082 地球と人間の歴史、生物の歴史、東京駅083 デカメロン、きだみのる、陰部(ほと)の紐084 震災句、シェークスピアの秘密、数学の秘密2013年085 北方の自伝の傑作、建築の最前線 086 「原発事故報告書」、地震を学ぶ、黒い羊087 現代の人種論、おっさん、おっきらい088 イラク戦争、ユージン・スミス、ピンチョンの冒険089 永続敗戦、文士のブログ、担ぐな、ひねるな090 長崎の負の遺産、半藤史学と戦争の評価091 アサギマダラ、ベートーヴェン、原発のコスト092 巧緻の小説、ミツバチの家探し、動く彫刻 093 意地悪な小説、優しい小説、コンピューター史2014年094 サーフィン、星に住む生き物、オオカミ095 汚れた写真、空港共和国、歪んだ言葉096 老いと病と死、柳田と折口、偽フェルメール097 「いか問」、化学遺伝学の発想、新幹線098 子供向けの詩の響き、文学賞、ねずみ099 話の中の話の中の…、墓を開いて、アンソロジスト100 馬の乱入、夢の恋人、内耳のサイズ101 あり得ない美術館、悲惨な二十世紀史、イグ・ノーベル賞102 進化論の見取り図、亡命ロシア料理2015年103 ヒョウタン、日本列島と料理、古典と奇譚104 本当のアイヌ史、原発は「漏れる」105 建築のスペクトル、木造建築、アホウドリ106 戦艦大和、「ふりだした雪」107 日本人の由来、二重螺旋秘話、元気な元素たち108 薬害エイズ、電柱のない風景、映画の検閲109 アロハで田植え、我らが祖先、山上憶良の年収110 スヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチ、灯台のレンズ111 クリスマスだから(変な)短編を読もう2016年112 贋作、見事なインタヴュー、佐藤春夫 113 日本沈没、死都日本、亡国論114 東北の叛乱、変なエッセー、変な小説115 英国の桜、日本語の謎、日本語の遊び116 軌道上の雲、地図とマップ117 三冊の詩集118 田中小実昌、ナダール、巨大数119 キノコ、物理と計算、昭和なことば120 贋作者の告白、読書の歴史2017年121 難民の現実、このモノはなに? 122 ウニとバッタ、飛ぶ小鳥、一遍さん123 文学のトリエステ、震災の短歌と俳句、地球の中124 移住先の料理、地名の由来、ネズミの月旅行125 和邇一族、イスラムの文化遺産、数学ゲーム126 今様、日本人奴隷、十六世紀のイギリス127 全歌集と索引、泰斗の随筆、祝詞と神道128 恩寵の物語、犬の物語、愉快な病理学2018年129 ミステリと建築、自転車二人乗り、スパイたちの老後130 バテレンと変形菌131 民族、伝統、久保田万太郎132 ネコの野生、声のすべて、動物たちの応用物理133 展覧会二つ、書評家の偉業、市場の古書店134 核と共生、数学と宇宙135 日本語を学ぶ、旧字体・正字体、アラブ音楽136 宇宙に行くべきか、独楽とモノレール2019年137 おばあと化学、深い穴、2001年138 丁々発止の対談、体熱の収支、御嶽とグスク139 かがく、縞模様、日本語、季語140 中国のSF、南極紀行、南洋の科学者人名索引 書名索引 はい、これが目次です。ここまで、画面を読みながらスクロールした方に拍手!ですね。繰り返しですが、全部で444冊の書評に、140章の表題をつけて600ページを越える1冊の本に編集してあるわけです。目次だけで9ページもあります。 ところがです、こうして目次を写しても(まあ、ここまで読んでいただいても)、やっぱり、どんな本が話題にされているのかわからないのです。こまりましたね・・・💦💦 さて、どうしましょうかね。 もちろん、シマクマ君も写しながら気づいて、バカバカしいからやめようかなとも思ったのですが、まあ、始めてしまったことだしという気分で写しました。 で、これからどうするか。 あのですね、目次の表示で色が変わっているところをクリックしてみてください。そうすると、もう少し詳しい記事がわかるようになっているかと思うのです。こう書いている2023年の11月5日には色が変わっているところはまだありません。そのうち変わると思いますが、完成するのがいつになるか、飽きずに続けられるか、ちょっと自信がありません。 まあ、とりあえず、池澤夏樹が20年近くかけた仕事です。ちょっと、というわけにはいかないでしょうが、付き合ってみようかな、という思い付きです。というわけで、一緒に遊んでいただけるとうれしいかなということですね。じゃあ、よろしくね(笑)。