土井裕泰「平場の月」109シネマズ・ハットno69
土井裕泰「平場の月」109シネマズ・ハット 先日パルシネマで見た「片思いの世界」という作品で、「オヤ?」って思ったんです。「花恋」とかで有名らしい土井裕泰という監督ですね。で、彼の新作らしいので見に行きました。「平場の月」です。 朝倉かすみという方の2019年の山本周五郎賞受賞作の映画化のようです。泣いても、起こっても、笑い顔にしかならない印象の堺雅人くんが、バツイチの50男、青砥くんを、ここのところ「アフター・ザ・クエイク」、「見はらし世代」と、オバサン姿をスクリーンで見掛けしていた井川遥さんが、これまた夫と死に別れて病院の売店デパートをしながら一人暮らしをしているオバサン、須藤葉子さんを演じていらっしゃるという、超ド級のメロドラマ!(笑)でした。 青砥君と須藤さんは、実は中学校時代の同級生で、「青砥!」、「須藤!」呼び合う関係です。初恋相手と50を過ぎた二人の男女が尾羽打ち枯らしての再会ですね。まあ、ある意味ベタ過ぎてドン引きですが、なんと、これが、よかった(笑)。 映画は、自転車に乗っている青砥君が鼻歌を歌いながら登場して、ふと見上げた安アパートの二階の窓から月を見ている須藤さんに気付くところから始まります。 始まりがこのシーンだったことについて見終えて感心したことがいくつかありますが、説明すると、全部ネタバレということになるので一つだけ言うと、このシーンでの青砥君の鼻歌は、ハズレ過ぎていていて、見ているこっちはなに歌っているの?だったのですが、実は、あの薬師丸ひろ子の、まあ、ボクでも知っている「メインテーマ」という曲だったのですね。時は忍び足で 心を横切るのもう話す言葉も浮かばないあっけないKissのあとヘッド・ライト点して蝶のように跳ねる波を見た好きと言わないあなたのことを息を殺しながら考えてた♪愛ってよくわからないけど傷つく感じが 素敵笑っちゃう 涙の止め方も知らない♪ これですね。見終えて帰って来て原曲を聴きなおしながら、もう一度、涙の止め方がわからなくなりそうで、困りました。いい歌ですねえ・・・😢 この歌が、そのまんま映画になっていて、ただ一言です。うまいもんだ! まあ、そう唸らせて、70歳を過ぎたジジイを、メロドラマで泣かせてくれた土井裕泰という監督はただものじゃないですね。拍手! で、この歌詞の最後のきめ文句ってご存じでしょうか。20年も生きて来たのにね♪ ですよね。 主人公の二人にとっては50年も生きて来たのにね♪で、見ているボクにとっては70年も生きて来たのにね♪でしたね。 主演のお二人もよかったですね。笑い顔にしかならない青砥君のボー然自失の哀しみ。キリッと孤独に耐えながら、部屋のカレンダーには再開の日の赤丸を残して逝ってしまった葉子さんの切ない夢。それぞれを見事に演じきった堺雅人君と井川遥さんに拍手! 若い人たちがどうご覧になるかは、ちょっとわかりませんが、人生のある時期をお越えになっている方には、薬師丸ひろ子のあの声で、メインテーマが響くラストは、いろんな思いを掻き立ててくれるんじゃないでしょうか。土井裕泰監督が1964年生まれだそうで、還暦をお越えになっていらっしゃからいいようなものですけど、40代だったりしたらちょっとむかつきますね(笑)。監督 土井裕泰原作 朝倉かすみ脚本 向井康介撮影 花村也寸志編集 穗垣順之助音楽 出羽良彰 主題歌 星野源キャスト堺雅人(青砥健将)井川遥(須藤葉子)坂元愛登(青砥少年)一色香澄(須藤少女)中村ゆり(前田道子 葉子の妹)でんでん(八十島庄助)安藤玉恵(うみちゃん)椿鬼奴(安西知恵)栁俊太郎(リリー)倉悠貴(青砥健介 息子)吉瀬美智子(青砥の元妻)宇野祥平吉岡睦雄黒田大輔松岡依都美前野朋哉成田凌(鎌田雄一)塩見三省(児玉太一 焼き鳥屋のじーさん)大森南朋(江口剛)2025年・117分・G・日本・東宝2025・11・14・no160・109シネマズ・ハットno69追記 ところで、このブログをご覧いただいた皆様で楽天IDをお持ちの方は、まあ、なくても大丈夫かもですが、ページの一番下の、多分、楽天のイイネボタンを押してみてくださいね。ポイントがたまるんだそうです(笑)