DROP-IN

あろうことか！！会社で閉じ込められてしまった！原因は私。
ビルは８階建てで５階にいるが、上の階にエレベータで物を置きに行って、
戻る時にエレベータが中々来ない為すぐ横にある非常階段を使おうと思い付いた。
荷物を置きに行くだけだったので完全に手ぶらな私。悲劇はその事が仇となり起こってしまった。

ドアを開けて階段を降りて…５階のドアを開けて中に入る…………
何気ない行為はサッカー観戦の為に早く帰りたい気持を裏切りこの後予想外の展開を迎える。
え？？？ガチャ、ガチャ……開かない！！！「ハハ、なんだこの階は内側から鍵がかかってやんの」
再び上の階へ……ガチャガチャ…「え"！？開かない！！なんで！？」
開かない。（闇）
ドアの横にカードを通すような機械があるが今は持っていない。
まぁ、ここは非常階段だし普通１階に非常出口があって出られるよな～。とぷらぷら降りて行く。
さて非常出口。ガチャガチャ…開かない。ハハハ、今度はこっちから鍵ね。外せば………
開かない。サ～～っと汗が背中を流れる。
確か警備員さんたちって１階に出入りしてるよな～。もしかしたら地下とかなら詰所になってるかも。
と、わずかに期待しながら暗い階段をそろりそろりと降りて行く。
やがて、一番底のドアに辿り着く。何か奥からイスの音が聞こえる。
やはりドアは開かないが、叩いて開けてもらおう。ドンドンドンドン………。
なにも反応が無い。何度も叩き、声を出してみるが全く無反応。
もはや、希望は断たれた。四方八方塞がり状態になってしまった。
電話も無い、カードキーも無い。インターホンも無い。声も届かない…

もはや、残された道は１階と２階の間の踊り場の窓から飛び下りる事だけ！
そろりと奈落を見る様な気分でのぞいてみる。下まで２、３mはあるだろう。
普通に飛べばねんざは間違いない。それに今日はヒール靴。
もう１度よく見ると、足場になりそうな所がある。このビルのデザインのおかげだ。
それに排水パイプを伝って行けば一番近い外の階段まで降りれそうだ。
50cmはパイプを伝わなければならないだろう。手をかける所はでっぱりの下側だけ。
上側は届かないので支えきれるかどうか…
こうしている間にも時間は過ぎもう６時半になる…キックオフには間に合いたい。

意を決して左足を降ろす。後ろ向いて右足を降ろして手を今出て来た所にかける。
そろ～ ……　そろ～ …… 。パイプを伝う。
足を滑らせないようにパイプが割れないかという不安が入り交じり決死の脱出劇。
思いきって最期のジャンプで地上に帰還。
ものすごい汗を滝の様に流しながらようやく自分の席に戻り帰り支度をするのであった。
（（　完　））

人気blogランキングへ