2005/12/12(月)00:23
発展するロルフィング
ロルフ・インスティテュートでは、最新の研究をどんどん授業に取り入れている。常に現在進行形。解剖学の授業で生徒から質問が出ても、マイケルは「それについては今こういう説とこういう説がある。実際どちらが正しいかは今のところ自分にはわからない」と答えることがしばしばある。
小中高を通じて何でも白黒つけるタイプの勉強に慣らされたこちらは頭の中を調整するのがたいへんだけど、なんというか、こういうところが私にはすごく魅力的だ。決めつけない、常に可能性に対してオープンなところ。教条的にならず、常に謙虚な姿勢でいること。常に発展していこうとする姿勢。ロルファーとして何十年もの経験を持つ教師のレベッカやヘザーは、「今のロルフ・インスティテュートは私たちが通っていたころよりずっとよい内容を教えているわよ」と言う。
同じユニット2でも、講師によって教える内容は微妙に変わってくる。決まった教科書はなく、テキストはそれぞれの講師が用意するからだ。10月から始まるユニット2を受け持つジョンのテキストがたまたまクラスに持ち込まれてきたが、見るとマイケルのテキストとはずいぶん違っている。ロルフィングの概念や10セッションからなる基本的なレシピは同じなのだが、マイケルは、従来の(クラシカルな)10セッションの手法に加えて、身体構造の多様性にさらに細かく対応するための分析方法と手法を教えている。デモンストレーションでは、ケンがよりクラシカルなセッションを、マイケルがより応用を利かせたセッションを見せてくれている。
例えば、ロルフィングでは各セッションの最後に仙骨を軽く牽引するが、骨盤が後傾(太極拳をする人によく見られる形)していて腰のカーブが少ないクライアントの場合、マイケルは牽引せず、逆に腰にカーブを作るように仙骨を調整する。これはロルフィング創始者のアイダの教えではなく、ここ十数年の新しい研究から来たものだというが、確かに理屈にかなっている。私も腰のカーブが少ないほうだが、牽引よりはマイケルのやり方のほうが、ワークを受けた後に身体がしっくりくる。
ただ、ボルダー在住の優れたアドバンスト・ロルファーの一人であるヘザーは、それについて知りつつも、どのクライアントに対しても仙骨は牽引しているという。ヘザーからはロルフ・ムーブメントのセッションを受けたが、彼女のタッチはとにかく極上で、触れられているところがどんどん溶けていくような感じがする。仙骨を牽引されても違和感はない。これが絶対正しい方法などというものはないのだろう。結局は、自分でクライアントをよく見て、ベストな方法は何かをそのときどきで判断するということだ。レシピ(原則)はあるけどマニュアルはない。私にとってはそこもロルフィングの魅力だ。