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ぷち てんてん

鎖 乃南アサ


「あの音道刑事が拉致・監禁された。」
文庫の帯にはそう書いてある。
「あの」といのは、「凍える牙」で主役だった音道刑事だから、「あの」なのだ。

捜査は占い師夫婦と信者が惨殺された事件だ。
この話は、前半は、なかなか進まないこの捜査と音道とコンビを組んだ星野の話。
これがまた嫌な男で!
この部分が結構長い。
うんざりするくらい鼻持ちなら無い男。
エリート意識だけは人一倍強いくせに、責任は人に押し付けようとするような星野に、音道はよく耐えている。
これも警察組織の縦社会なのか?
とにかくそんなコンビを組みながらも何とか、犯人の足跡を見つけようとしている。
この長い前半から音道はひょんなことから、監禁されてしまう。

なんで?このひとが?
以前音道が顔見知りになった中田加恵子という女性によって監禁されてしまう。
音道同様、この占い師殺人事件と彼女の接点がわからない。
しかし、監禁されて、この事件を起こしたのは、中田と彼女の愛人、その仲間であるとわかる。

後半とにかく狭い部屋の一室、監禁状態で、動くこともままならない状態の音道の心理状態の変化を丁寧に書いている。
この犯人たちの場面と、音道を救出するために奔走する警察との話が交互に書かれている。
なかなか、音道が監禁されている場所に捜査が進まず、音道とともに読んでいてもじれったい。

今回の小説、一室で動きがない分、音道の心理的な動きが細かく書かれている。

音道は、女性ならではの細かい観察と、冷静な判断で今まで刑事として着実に成長してきた。
監禁という特殊な状態は、自分が刑事であるという気持ちもなえてくる。
唯一の女性中田の、ドメスティックバイオレンス。
なんだか、こっちを書きたかったのかな?
恋人や夫からの暴力は、傍から見れば、きっぱり手を切ればいいのに、逃げればいいのにと思う。
しかし、こういう女性たちは、中田もそうなのだが、恋人や夫の一瞬のやさしさにすがって、結局その暴力から逃れることができない。
その原因を、乃南さんは、過去の生い立ちに原因があるといっているようだ。

アクションがない分、早く何とかしてくれじりじりとした感じや、音道の絶望感やら、ページをめくりながらはらはらしていく。

女性ならではの刑事物といえるかもしれないな。




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