グラン・トリノ
☆グラン・トリノ☆(2008)クリント・イーストウッド監督クリント・イーストウッドビー・ヴァンアーニー・ハークリストファー・カーリーストーリー 長年一筋で勤め上げたフォードの工場を引退し、妻にも先立たれた孤独な老人ウォルト・コワルスキー。自宅を常にきれいに手入れしながら、M-1ライフルと72年製フォード車グラン・トリノを心の友に静かで退屈な余生を送っていた。しかし彼の暮らす住宅街に、もはや昔馴染みは一人もおらず、朝鮮戦争帰還兵のコワルスキーが嫌ってやまないアジア人をはじめ移民の外国人ばかりが我が物顔でねり歩く光景に苦虫をかみつぶす毎日だった。そんなある日、彼が大切にする庭で、隣に住むモン族の気弱な少年タオが不良少年グループに絡まれていた。彼らを追い払おうとライフルを手にしたコワルスキーだったが、結果的にタオを助けることに。タオの母親と姉がこれに感謝し、以来何かとお節介を焼き始める。最初は迷惑がるものの、次第に父親のいないタオのことを気に掛けるようになるコワルスキーだったが…。ネタばれ気味のないようになっているかな・・これから映画を見る方は、なるべく情報を入れずに見た方がいいと思うので・・あとで読んでくださいね。グラン・トリノって車の名前だったのねえ~。この車にイーストウッドが乗っているシーンは見られないのね・・・大事に大事に磨いたりしているだけなんだけど^^)でも、このコワルスキーの頑固さと古き良きアメリカを体現していると思ったよ。古き良きアメリカって言うのはもちろんアメリカ人にとってのことでね。主人公のコワルスキーはその「良きアメリカ」にこだわりながらも、実は心の奥で「それが正しかった」とは言えないって思っているんだよね。あ、もちろん昔の白人中心のアメリカがどんどん変わっていく様を苦々しくも思っている。しかし、ここまで今のアメリカは変わったんだろうかね。彼の周りは人種のるつぼだよ。さて、まさにイーストウッドを見る映画。クスッと笑うシーンもあるのよ。苦虫をかみつぶしたような頑固なコワルスキーの言動や隣人のモン族との交流、コワルスキーの孫たち、友人たちとのかかわりなどに「頑固だよな~」って思いながらなんだかクスって笑えちゃうのだ。こういう演出がうまいよねって、いつも思う。モン族のタオの気弱な男の子ぶりもなかなか良かった。彼の姉が言う言葉に「女は順応性があるけど男にはないのよね」って言うのがあってね。そうだなあ、そうかもしれないって思っちゃった。これはアメリカになぜ来たのかってコワルスキーに尋ねられた時の言葉なんだけどね。この気弱なタオを男にしてあげたいって、コワルスキーがだんだん思うようになるんだね。自分の息子とは溝ができてしまった彼が毛嫌いしているアジアの男の子に。いつもうつむき加減だったタオが胸を張って行くようになる様子が、見ている方もうれしくなる^^)タオの姉スー、アジア系ということもあり親しみやすくてこの子かわいい^^)・・・しかし、何かにつけ犠牲になるのは女性なんだな・・・本当に腹が立つ!!顔から血を流した彼女は本当に痛々しくて胸が苦しくなる・・・教会の若造神父もいい味出していたね。頼りなさそうなんだけど、でもまじめに真剣に取り組んでいる。事件は小さなことから始まったのだが、それにどう対処したら良いのか、やはり一番それを考えてしまった。コワルスキーの西部のガンマン的な対処の仕方そのものは間違っていると思う、やっぱり。・・・力に対しては力で応じるって・・・昔から人間が繰り返してきたんだけどさ・・・復讐は憎悪を産み、復讐の連鎖は止まらないのだ。しかし、彼はきっちり自分でけりをつけた。この決着の仕方はある程度予想した人もいたかもしれない。私はそこまで考えていなかったもんで「そうか、そういうけりの付け方なのか~」ってズシンときた。西部劇のヒーローも自分の命をかけて戦うがこのコワルスキーも自分の命をかけて戦うのだ。同じ命をかけるにもこんなにも違うのかあって思っちゃった。生きるということは良く死ぬことだとは分かっていても、なかなかそこまで思いきることはできないだろうな・・・ライフル持つと老いてもかっこいいよね~。しかし、アメリカの銃社会は変わらないのかな~・・・イーストウッド最後の出演作かもといわれるが、ズシンと来るメッセージが胸に響く作品だ。男らしいかっこいイーストウッドを見れたのが本当にうれしい一作。ご覧になるのをお勧めします!イーストウッド、まだまだ、がんばってほしいよ!