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テーマ:中国・香港映画が熱い!(638)
カテゴリ:~2006年 映画・ドラマ
たくましく、したたかでもある女性二人
☆ションヤンの酒家☆(2002)中国 フォ・ジェンチイ監督 タオ・ホン ストーリー 都市開発が進む重慶。そこの屋台村チー・ジンジェで小さな店を切り盛りしているションヤン(タオ・ホン) こんな片隅の女将にしておくには惜しいくらいの美人だ。そんな彼女を目当てにくる客もいる。 彼女は、一家を支えている。 母が亡くなったあと、父は女と家を出た。兄は妻に頭が上がらず、妻の実家に居候の身だ。 弟は、ミュージシャンになるのが夢だったが、今は麻薬中毒の為に更生施設に入っている。 そして、弟の恋人は田舎での純情な娘。彼女を店で働かせている。 文化大革命のドサクサで父が貸していた家の名義が借人のものになっているのも、彼女の悩みだ。 何とかこの家を自分のものにしなければ。 さらに開発の手はこのチー・ジンジェにも伸びて来ている。 ~~~~~~~~~ 彼女ションヤンは、かなりの美人だ。 店番で、屋台に座って人待ち顔にしている場面など、そのうなじの美しさといい、ほんとうに絵になるのだ。 そして、彼女、ただ美しいだけではない。 やさしく風情もあり、しかし時にあばずれで、たくましく計算高い女。 この屋台の切り盛りでは、惜しいと思うのだが、彼女は生活できるだけ稼げればいいのだという。 彼女の周りの男達、父はすっかり隠居だし、兄は尻に敷かれているし、弟は夢ばかり追いかけている。 たくましいのはやっぱり女か。 屋台のほかの店のおばさん達も皆威勢がいいしね。 そうそう、兄嫁とののしりあい、物を投げあうけんか。 彼女のたくましさは、兄嫁には小憎たらしいんだね。 そんな彼女の店に1年も通う中年の男。 中年の一見しょぼいおじさんのようだが、羽振りが良いらしい。 彼女が人待ち顔で、タバコを持つと火をつけてくれたのがこの男だ。 彼女も、この男の視線を楽しむようにじらすように・・・ しかし、こんなに美人なんだもの、もっといい男を見つけたほうが、そう思うのだよ、私は。 この屋台村も取り壊される。 人がほとんどこなくなったこの屋台村で、それでも最後まで店を続けるションヤン。 いつもと同じように店の前で、タバコを手に持ち客を待つ。 もうあの中年の男が火をつけることは無いだろう。 そんな彼女に青年が「あなたの絵を描かせて下さい」と。 「私は、いつでもここにいる」と答える彼女。 相変わらず、いろいろなものを背負っている彼女だけれども、気負わず、たくましく生きていくのだろう。 たくましいといえば、こちらもです。 ☆涙女☆(2002)カナダ・フランス・韓国 リュウ・ビンジェン監督 リャオ・チン ストーリー 北京に暮らすグイは、毎日賭けマージャンして暮らす旦那の為に、路上で、違法DVDを売っている。 そんなある日、警察の取締りを辛くも振り切って帰宅すると、相変わらずの賭けマージャンをしている旦那。 ところが、近所のうちから預かった子供を帰しに行くと、そこはもぬけの空、逃げ出したのだ。 さらに、口げんかから暴力に発展した旦那は、仲間の一人に重傷を負わせ、刑務所に。グイは、北京から追放され、ふるさとに帰った。 そこに、怪我をした男が妻とやってきて、治療費を払えと。 その場を嘘泣きで逃れた彼女。 それを見ていた彼女の元彼が、「哭き女」の仕事をしてみないかと。 だんなの保釈にも金が必要だし、治療費もそれで払えるはずだ。 彼女は、仕方なく始めた仕事なのに、あっという間に人気者の「哭き女」になった。 ~~~~~~~~~~~ 中国映画なのに、カナダとフランス、韓国の作品て面白いね。 さて、こちらの彼女、グイはこれまた、たくましさ万点だ。 北京での路上販売。預かった子供を小脇に抱え、怪しいDVDは胸元に隠して「DVD買って」と。 取締りがくると、一目散に逃げる。見つかっても子供がぐずって無事に警察の手を逃れる事が出来る。 そう、中国は一人っ子政策だよな~。しかし預かった家は子沢山のようだ。 彼らは、戸籍があるのかな・・・? 賭けマージャンにうつつをぬかす夫。 しかし、このグイを愛しているんだね。 冗談で仲間が、「金が払えないなら、彼女の体で返すかい?」などといったものだから、逆上!相手を失明させちゃった。 しかし、愛しているだけじゃ、生活はできないわな~。 田舎に戻ってから、元彼を頼りにする彼女。 いい仲になっちゃう。しかし、元彼はすでに既婚者で葬具屋を営んでいる。 売れっ子「哭き女」になった彼女。 支払いが足りないといって、相手にビンタしたり、時間だから帰るわと言って、途中なのに帰っちゃったり。 金のためなら、犬の葬式だって「哭き女」だ! ここでの「哭き女」は、ただ泣くのではなく、個人にふさわしい歌を歌うのだ。 しかも結構派手な衣装に派手なメイクで。 場合によっては陽気な歌だったりする。 場合によっては、長時間歌い続けなくてはならないようなのだが。 村でおこなわれるものは、歩きながら歌っていたなあ。 あれは、お墓まで行くところなのかもしれない。 この主役グイ役、リャオ・チンは、京劇の女優なのだそうだ。 さすが、あの声は見事だね。 たくましいのだよ、ほんとに。 元彼の妻が、グイをののしる場面が出てくる。 路上で呼び止めて近所中に訴えるのだ 「私の夫を寝取った女だよ!」 こういう大騒ぎって、中国なんだろうな~。 いいかげんに生きているみたいな彼女だけど、ラストの彼女の「哭き女」は見事だったね。 号泣しながら歌う本物の涙。 「ハッピー・フューネラル」(2001) フォン・シャオガン監督 ドナルド・サザーランド グォ・ヨウ この映画は、中国の「喜葬」(70歳以上生きた人間は大往生として葬式をおこなう)を扱っている。 中国で撮影中の大監督が、突然亡くなった。 彼は、自分の葬式を「喜葬」にしてくれと遺言を残した。 その後のてんやわんやを描くコメディだ。 ここでも、「哭き女」がちょこっと出てくる。 ここの「哭き女」は、泣く事で式を盛り上げ、悲しみを表すみたいだけど。 どちらも葬式は、中国はとっても極彩色なのがわかる。 鮮やかな中で、個人は「哭き女」の声に見送られるわけだ。
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