2006/04/13(木)18:33
ハッシュ!
「メゾン・ド・ヒミコ」の感想を書いていて思いだしたので、こちらもアップ。
こちらはゲイの若いカップルと、子供がほしいという若い女との不思議な関係の映画。
☆ハッシュ!☆(2001)
橋口亮輔監督
田辺誠一
高橋和也
片岡礼子
ストーリー
ペットショップで働く直也は気ままなゲイライフを送りながらも何か物足りなさを感じていた。一方、土木研究所で働く勝裕はゲイであることをひた隠しにしており、何かにつけ優柔不断な自分を情けなく思っていた。そんな二人が出逢い、同棲生活が始まる。しかし偶然出会った歯科技工士の朝子が彼らの暮らしに大きな問題を投げかけることになる。好きでもない男とのセックスで孤独を紛らわせてきた朝子。彼女は二人に、「結婚とか付き合うとかではなく子供が欲しいの」と持ちかける…。
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勝裕は本当に、気がやさしいというか優柔不断というか。
彼にはストーカーのような若い女がいるのだけれども、彼女に付きまとわれて迷惑しているのに、きっぱりと断固に断れない。
見ているほうがイライラしてくる。
もちろん恋人の直也も、「きっぱりいう事が彼女の為になるんだよ。次の一歩を踏み出す事ができるでしょう」っていうんだよね。
私も、そう思うなあ。
優しいってちっとも親切な事じゃないのよね。
しかし、このストーカー女性、殆ど病気でした。
笑えるというか、不気味というか。
かわいそうになっちゃうな~。
そんなストーカー女とはまた別な意味で、「思い込んだら」という女が30女の朝子。
何で、このゲイのカップルの勝裕を標的にしたのかしらん?
「父親になれる目をしている」彼女はそう思ったのだ。
突然の話に驚く勝裕。
しかし、これまた優柔不断の彼には判断が出来ない(笑)
直也が何であんな女に振り回されるんだと怒り心頭してもね。
勝裕は「どうしようもないんだ。全部ほっぽり出したいけど、でも出来ないんだ。だってこれが俺だもん。」
そう、変えようっていっても変えられないものがある。
セクシャリティ、家族・・・
そして、孤独。
でも孤独は、自分で変えられるのじゃないかしら。
孤独というのは朝子の孤独もそうなのだけど、ゲイのふたりの孤独も感じる。
孤独な3人が寄り集まった新しい家族の形。
あってもいいかもと思う気がするよね。
朝子が子供を生みたいんだというのに対して、勝裕の義姉が激怒する。
「子供を産むって、そんな甘いものじゃないのよ。」
ヒステリックに喚く彼女はかなり迫力がある。
子供を産むとかだけではなく、義姉のたまっていた鬱憤が吹き出てきたともいえるよね。
リアリティがある・・この監督かなりよくわかっていると思う。
義姉は、自分の結婚生活に不満をもっている。
決して夫に不満があるわけではないんだけど、「家」というものにね・・・
だから、自分がしたい結婚をしなさいねと、勝裕にアドバイスするのだ。
なんとも面白い3人の設定。
その中で、知らぬうちに直也の方が「父親」になる事に興味を持ち、朝子と一緒に玩具や、ベビー服を楽しそうに見て回る。
ちょっとユーモアもあってね、ちょっとホロッともさせるしね。
自分らしい生き方が出来たらいいよねと思う映画だった。