ぷち てんてん

2009/03/07(土)20:57

ある愛の風景

2009洋画(61)

☆ある愛の風景☆(2004) スザンネ・ビア監督 コニー・ニールセン ウルリク・トムセン ニコライ・リー・コス ストーリー 夫としても父親としても完璧なミカエル。美しい妻サラと可愛い2人の娘、幸せな日々を送る彼に、アフガニスタンへの派兵が命ぜられ、やがてサラの元へ訃報が届く。しかしミカエルは捕虜となって生き延び過酷な状況に直面していたのだ。運命のいたずらによって突然崩れる幸せな暮らし。悲しみに暮れるサラと娘たちを支えたのは、刑務所帰りで、今まで常にトラブルの種だったミカエルの弟ヤニックだった。そしてようやく平穏な日々が戻りつつあった矢先ミカエルが帰還する・・・。 「人生はいつだって矛盾に満ちている」 これはミカエルが今まで自信を持って生きてきたことが、一瞬のうちにひっくり返ってしまったことから出てきた言葉だね。 完璧で父の誇りであるミカエル。 いつも兄と比べられ父から見放されていた弟。 父と二人の息子の関係は、旧約聖書の話のようだ。 男同士ってみんなライバルになっちゃうのかしらね。 幸せな家族を襲った突然の不幸。 遠い異国でヘリが撃墜された。 乗っていたミカエルは死亡したと伝えられる。 お葬式のとき、娘が喪服を着ることを拒む。 式の間中、娘を抱きながら呆然としているサラ。 そして徐々に夫がいなくなったことを感じる。 精神的な不安、喪失感を分かち合ってくれたのがミカエルの弟ヤニック。 まったく夫とは違うタイプ。 物語はそれと並行するようにアフガニスタンでのミカエルの姿を写す。 まあ、あり得ないと思うがほとんど無傷で彼がタリバンにつかまってしまう。 そして何もない小屋に閉じ込められる。 ただ、そこには通信士のニコスが捕虜となっていた。 憔悴しきったニコスを励ましつつ「生きて家族のもとに帰る」ことを励みに生き続ける。 しかし・・・ まあ、この「しかし」がその後の彼を別人のように変えてしまうことになるのだが。 彼がつきつけられた究極の選択。 う~、これがアクション映画ならうまく行っちゃうんだけどな・・・ そうはいかないのが現実だよね。 私はもっと違う過酷な体験かと思ったのだが、一番わかりやすい究極の選択の場面といったらこれなのかもしれないと思った。 「もし自分なら?」と誰しも思うだろう。 私ならどんな選択をしただろう・・・ 助けられてからの彼の言動も、わかる。 彼が何をしようとしてそして出来ないのか、それもうまく見せている。 そして、彼がそれに悩み苦しみ別人のようになっていく様は、怖いぐらいだ。 この映画の最初に見られたミカエルの自信に満ちた穏やかな顔が、後半げっそりし別人のようになる。 サラはそれをただただ見ているしかない。 ミカエルに何があったのか話してもらいたくても、彼は話さないのだ。 彼が優秀でまじめな人間だから、なおさら言えないんだろうなあ。 とにかくこのミカエルの変貌ぶりは見ている方も苦しくなる。 またこの妻サラがとてもいいのだ。 とても魅力的だ。 妻としてもチャーミングだし、母としても一人の女としてもとっても魅力的。 コニー・ニールセンって理知的だし素敵だよね~~。 「グラディエイター」に出ていたって? 「アイス・ハーベスト」の方がまだ記憶があるわ^^) また、出来の悪い息子といわれ続けた弟が、サラに心動かされるさまはいい感じ。 「兄」を介してお互い心が通じていく。 やっぱり何より魅力的なんだもんサラが。 兄を思いサラを思う彼の苦悩をおおげさではなくさりげないしぐさや表情で見せてくれて、ヤニックもまた魅力的だと思う。 ラストも余韻を残すね。 この先苦しいだろうが、夫婦で支えあい乗り越えていくだろうと思う。

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