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テーマ:映画館で観た映画(8348)
カテゴリ:2009邦画
☆沈まぬ太陽☆(2009)
若松節朗監督 渡辺謙 三浦友和 松雪泰子 鈴木京香 石坂浩二 香川照之 ストーリー 国民航空の労働組合委員長を務める恩地元。職場環境の改善を会社側へ訴えていた彼はやがて、海外赴任を命じられる。それはパキスタンやイラン、ケニアなど、まともな路線就航もない任地を転々とさせられるという、あからさまな懲罰的人事だった。だが、恩地は自らの信念を曲げることなく、長きに渡る海外勤務を全うしていく。一方、同じく組合員として共に闘った恩地の同期、行天四郎。彼はその後、本社での重要なポストと引き換えに会社側へ寝返り、エリートコースを歩みながら恩地と対立していくこととなる。こうして10年ののち、孤独と焦燥感に苛まれた海外転勤から、ようやく本社へ復帰を果たした恩地。しかし、会社側に苦境を強いられている組合の同志たちと同じく、恩地も不遇の日々を過ごすことに。そんな中、航空史上最大のジャンボ機墜落事故が起こる。恩地は遺族係に就き、未曾有の悲劇の数々に遭遇する。また、国民航空の建て直しを図るべく政府の要請で就任した新会長から会長室の室長に抜擢された恩地の前には、さらなる苦難の道のりが続くのだが…。 ~~~~~~~~~~~~ 激動の昭和30年代から60年代を背景に、巨大組織に翻弄され、海外僻地への左遷や歴史的な航空事故、政界をも巻き込む会社再建といった波瀾の渦中に図らずも身を置いた主人公が不屈の信念で過酷な状況を克服しようともがく姿を通し、人間の尊厳とは何かを問いかけていく 渡辺謙さんが、思わず涙ぐんだ様子をTVで見て、やはり行くべきかと思ったわけです。 なるほど、映画化に際してモデルとなったJALさんや、もちろん政界関係から何らかの圧力がかかるのも良く分かりますね。 この小説が発表された当時は、どうだったのかしら? やっぱり出版に際してもかなり圧力がかかったんだろうか? そして、このJAL再建がどうのこうのといわれるこの時期にぶつけるというのは、話題性抜群です。 ただね、今この時代にこの映画を作ったのはなんでだろうか?と見ながらずっと思っていたのでした。 文庫本5冊分を202分にまとめてあるんですけど、私は原作をまだ読んでないんですよ。 原作を知らない私は、内容はわかりやすく長さも気になりませんでした。 途中休憩は、皆さん言っているように初めての事で驚きましたけど、休憩が入ってもすんなり画面に入り込めましたね。 お客さんはやはり中高年夫婦が多かったです。 内容からして納得。 ~~~~~~~~~~~~ 昭和の時代を作ったのは、こうしたサラリーマンのお父さんたちだったのね。 会社との労使交渉というのは、最近どうなんだろう? 今は不景気でそんな交渉は出来ないというのが実情だろう。 日本が上り詰めていくそんな時代を感じる。 そこには会社側の不遜な態度、こんなもんか上層部はというあきれた感。 政治との癒着、やっぱりね~・・・・ 会社から不当な扱いを受ける恩地、でも会社側の言うなりにはならない。 息子から「波に逆らってばかり」といわれるように、自分の信念を曲げない。 その恩地の感情は日本人的で痛いほどわかるんだよね。 と言いながら、最初のころの労使交渉の行天の躊躇する気持ちもわかるのだ。 過激に要求するよりなんとかうまくお互いに行けばそれがいいじゃないかと・・・これもある意味日本人的かな。 まあ・・・その行天がどんどん世渡り上手に裏で波乗りしていく様は、ホントこういう人いるんだなあって思う。 恩地の「会社は何もしてくれない!」 というセリフが印象に残る。 会社に骨を埋めるのが当たり前だった当時、この言葉は会社の体制を見直すべきだというメッセージが込められていたのだろうか。 そして、今。 雇用体制が変化してきたこの今。 この「会社は何もしてくれない」という言葉は、どう受け止められるのだろうか? その点で、なぜ今この映画なのだろうか?とふと思った。 どこかで読んだのだけど、欧米(特に米)の雇用体制からかつての日本の家族的な会社体制を見直す雰囲気も出てきているのだって。 日本人が戦後の混乱から這い上がってきたのには、そうした日本人の雇用体制がやはり大きかったのではないかと、私も思う。 しかし、この映画を見ていると終身雇用され安定と引き換えに、人生家族ひっくるめてすべて会社に捧げるという怖さも感じる。 だがなあ…安定は捨てがたいもんがあるからなあ~。 恩地は家庭を犠牲にして会社に尽くす。 もちろん不遇の海外僻地勤務を強いられてもだ。 一方妻りつ子、夫に文句を言わず家庭を守るけなげな妻。 辛抱強く強い妻だ。 彼女がそれでも夫に対して不満(?)を言うシーンもあるにはある。 しかし、私から見たらかなりの抑え目だ。 今時の妻たちは、もちろん私を含めてこんなもんじゃ済まないだろうな~と思う(笑) もちろん、夫の立場も仕事も苦労もわかるが、言いたいことをお腹の中にため込んでおくわけにはいかないんじゃないだろうか・・ あ~、現代の夫は大変なんだ さて、その会社を揺るがす大事故。 思い出す当時。 毎日報道されたあの場面。 かなりしっかりと映像化されているよね。 その裏で、会社がどのように動きどのような事があったのか また犠牲者のご家族が苦しみ悲しんでいたのか。 家族の悲しみ、憤りが痛いほどわかる。 思わず目頭が熱くなる(T△T) ~~~~ もっと小説は骨太な恩地が描かれているのだろうか。 もちろん、映画でも謙さんはよかったよ。 そして憎たらしい役にまわった三浦友和。 うん、こういう役もぴったりしちゃうよね。 恩地の妻役、鈴木京香もぴったりだったなあ。 楚々とした、でも芯の強い妻だった。 他に 西村雅彦、柴俊夫、小林稔侍とか、加藤剛(利根川首相)などそうそうたる役者がそろった。 加藤剛さんは、本当に久しぶりだ。 最初あまりに久しぶりで気がつかなかったくらいだ。 少々やせ過ぎが気になったが・・ 話題性もあり内容も十分に引きつけられる、そんな映画になっていると思う。 DVDになって3時間じっと見るのは辛いかも、と思う方は映画館で見るのがいいのではないかな。 TV放映される時は二部構成にでもしないとね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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