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2008/04/24(木)22:41

(その2・終)広島ウインドオーケストラの定期演奏会を聴きに行った話

吹奏楽関連(178)

(22日(火)の続きです) 演奏会は、A.リードの「ヴィヴァ・ムシカ!」で華やかに幕を開けました。 私にとっては、生で初めて聴く広島ウインドオーケストラ(HWO)の演奏・・・ 私にはとても柔らかく感じられ、ホッとさせてくれるそのサウンド。それは初めてCDを聴いた時と同じ印象で、とても嬉しくなってしまいました。 そして、それに加え・・・ 指揮の下野竜也さんのエネルギッシュなタクトに導かれる様に、演奏には適度の迫力も加わっていた様に思います。 今年のコンクールの課題曲ですが・・・ Iは、ちょっと演奏レベルが高そうなコンサートマーチ。 IIは、小編制でも手軽に演奏が楽しめそうなポップス調のマーチ。 IIIは、小編成用に作曲されたと思われる、全体的に重い曲調の、現代音楽風。 IVは、演奏に必要なパーカッション類がやたら多そうな、ポップス風。 Vは、サウンドが重厚で高レベルの演奏テクニックが要りそうな、大曲風。 私はそれぞれ、↑この様な印象を持ちました。 実際にコンクールでは、ズバリ! IとVを演奏する団体が多そう、私は、そんな気がします。 A.リードの「オセロ」ですが・・・ コンクールの自由曲として、よく「I、III、IV」の組み合わせで演奏されますが、本当は全5部からなる曲。全曲通して演奏される事は、結構珍しいかも知れませんね。私自身も今回、久しぶりに全曲通して聴きました。圧巻だったのは、「IV(延臣たちの入場)」だったと思います。 コンクールではまさに“フィナーレ”として、華やかに明るく軽快に演奏される事が多い「IV」ですが、下野さんは曲のテンポをゆっくりめにとり、この「IV」を重々しく荘厳に仕上げていらしたと思います。それはまさに、オセロの宮廷に“悲劇の物語”の登場人物たちが入場してくるかの様に・・・ 全体的にも、全5部それぞれの舞台の場面が目に浮かんで来る様な、とてもドラマチックなオセロだったと思います。 私自身、今まで聴いた事のない曲の解釈でしたが、非常に的を射ている、そんな気がしました。 第二部の曲ですが・・・ 私は3曲とも、初めて聴く曲ばかりでした。 「吹奏楽のための音楽第5番」は、壮大な序曲風の曲。交響詩風と言っていいかも知れません。 プログラムに載っていた作曲者の中原達彦さんご自身による曲紹介では、“聴く人それぞれのイメージで聴いて頂きたい”との事でしたので、↑こんな感想を書いてみました。 曲の演奏が終わって会場内が拍手で包まれた時、指揮の下野さんが客席を指差しました。 中原さん、会場に来られていたんですね。 「チェロと管楽器のための協奏曲」は、“吹奏楽+チェロ”というよりは、“小編制のチェロ協奏曲”といった趣でした。まず最初に、HWOの管楽器隊が10人舞台に登場した後・・・ チェロのマーティン・スタンツェライトさんが、下野さんに促されながら舞台に登場しました。 「寄港地」で有名なJ.イベール作曲によるこの作品、明快な旋律のない少し難解な曲、と私は感じました。しかしスタンツェライトさんの確かな演奏テクニックは、十分に堪能できました。 広島交響楽団の主席チェロ奏者をつとめる一方で、ソロ、あるいはソリストとしての活動も精力的に行っていらっしゃるというスタンツェライトさん。『もしかすると、今後はソリストとして活躍する機会が増えるのでは・・・?』、そんな予感がしました。 プログラムの最後、「交響曲変ロ調(コンサート・バンドのための)」は、P.ヒンデミットがシンフォニックバンドのために作曲した吹奏楽のオリジナル曲だそうで。 くしくも第二部は、20世紀以降に作曲された作品が3曲演奏された訳ですが、これはHWOさんの選曲でしょうか。それとも、下野達也さんの意向によるものでしょうか。 いずれにしても、プログラムとしてとても興味深い内容だと私は思いました。 アンコールは・・・ J.S.バッハ。 柔らかいサウンドを特徴とするHWOにとって、バッハの曲は十八番なのかも知れませんね。再弱音でも音が擦れたり途切れたりする事なく、素敵な演奏を聴かせてくれました。 全体的に、いい意味で私の想像していた通りの演奏内容で、とても楽しめました。 特に、私が想い描いていたHWOのサウンドを生で聴く事ができて・・・ 本当に、遠くから来た甲斐がありました。 下野達也さん指揮の演奏会。次回はぜひオーケストラで、聴いてみたいです。 そして・・・ 今後、なかなかHWOの演奏を生で聴く機会には恵まれないとは思いますが・・・ これからも、その活動に注目していきたい、そう思わずにはいられないHWO、私のお気に入りの吹奏楽団のひとつです。こんな素敵なプロ吹奏楽団を擁する広島に住んでいらっしゃる方々がうらやましい、そんな事を思いながら、会場を後にしました。 (次回“吹奏楽関連記事”の更新は、来週29日(火)予定です)

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