2010/07/14(水)20:37
(前編)「読売日本交響楽団 第174回東京芸術劇場名曲シリーズ」を聴きにいった話
7月9日(金)、私は東京芸術劇場へ、標記の演奏会を聴きにいってきました。
指揮:シルヴァン・カンブルラン
アルト:エカテリーナ・グバノヴァ
テノール:ミヒャエル・ケーニッヒ
プログラム
ハイドン:オラトリオ「天地創造」から序奏
ヴァレーズ:砂漠
(休憩15分)
マーラー:交響曲「大地の歌」
この日の演奏会の事を、私は公演日の十日ほど前に偶然知りました。
マーラーの「大地の歌」がプログラムに載っているのを見た途端、どうしても聴きたくなり・・・
この日、実は私は既に別の演奏会のチケットを手に入れていたんですが、そちらは知人にムリヤリ押し付け・・・ 雨降る中、東京・池袋まで出掛けました。
指揮は、今年の4月から読響の第9代常任指揮者に就任された、シルヴァン・カンブルランさん。出身がフランスである事は、当日のプログラム冊子に載っていたマエストロのプロフィールを読んで、初めて知りました。
当然私は、マエストロの指揮を、観るのも聴くのも今回が初めて。
『フランス人さんだから、縦だか横だかよく分からない難しい棒を振られるのかなぁ』
な~んて、開演前には思っていたのですが・・・
その指揮ぶりは、とてもオーソドックス、というのが私の第一印象でした。
音楽の拍の頭はキチンとタクトによってオケに伝えられていましたし、そのアクションは派手でもなく地味でもない。ただ・・・
ステージ上で奏でられる音楽に関しては、事前の私の想像レベルを遥かに超えていました。
開演後にまず演奏された“2曲”、プログラムには、こんな注釈がありました。
「ハイドンとヴァレーズは続けて演奏されます」
この世に天と地が生まれる前の状態を表した「天地創造」が完成したのが、1798年。
まだ人類が生まれる前の“地”を表現した「砂漠」の完成は、1954年。
この二曲を続けて演奏する事で・・・
(いえ、実際は「天地創造」で「砂漠」をサンドイッチする様な形で演奏されたのですが・・・)
こうすることでマエストロは、人類誕生以前の世界に対する音楽的な表現について、時代的な“対比”を試みたのだと思われます。
弦楽器の旋律が印象的な「天地創造」と、管楽器および打楽器だけで演奏される(いかにも“現代音楽”という感じの)「砂漠」。その2曲には、事実として約150年にも渡る時代の隔たりがあり、曲調も、一見(一聴)全く違う様に感じるのですが・・・
最も根本的なところで、この2曲は、ちゃんと繋がっている・・・
そんな感想を、演奏終了後、私は抱きました。とても興味深かったです。
『しかし、マエストロ、常任指揮者就任後まだ3ヶ月程度だというのに・・・』
その精力的かつ冒険的で、印象的かつ効果的なプログラム構成には、感心してしまいました。
15分間の休憩後には、東洋的な思想に立って人類が“地”の素晴らしさを歌い上げる「大地の歌」へと、音楽が続いていく訳です。
(“後編”に続きます)