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翠蛇の沼

零崎双識の人間試験

零崎双識の人間試験

著:西尾維新 講談社ノベルズ


人を殺す事でしか生きられない殺人鬼達の内情と生き様、
そして死闘を描いたお話。



登場人物


零崎双識(ぜろざき・そうしき)

殺人鬼集団・零崎一賊の長兄で、針金細工のような痩せぎすの長身。『二十人目の地獄』
大鋏『自殺志願(マインドレンデル)』を得物とし、また武器と同じ異名を持つ。
回りくどい喋り方をする。家族思いで、それゆえ零崎では異端。
『大鋏振り回している妹マニアの変態 By人識』


無桐伊織(むとう・いおり)

赤いニット帽がトレードマークの女子高生。生まれたての殺人鬼。
ある事件を切欠に、双識と知り合い“零崎”として覚醒する。
明るい性格で、ボケとツッコミを両方こなせる。


零崎人識(ぜろざき・ひとしき)

零崎一賊の若き殺人鬼。零崎の中の零崎。
異常につかみどころの無い性格で、双識以上に異端視されている。
顔に刻まれた刺青が特徴。得意とする得物はナイフ。
明るく人懐っこい態度を取るが、理由なく何も感じず呼吸するように人を殺せる。
自らを『人間失格』と称し、戯言シリーズの主人公『欠陥製品』いーちゃんとは同類で鏡の向こう側。
口癖は「傑作だぜ」。決め台詞は「殺して解して並べて揃えて晒してやんよ」


早蕨刃渡(さわらび・はわたり)

『殺し名』序列第一位・『匂宮』の分家『早蕨』の一員で、早蕨三兄妹の長兄。太刀遣い。
『紫に血塗られた混濁』の異名を持つ。
無口で物静か。武士らしい性格と得物に似合わず、紫色の野球帽にトレーナーと服装は現代風。


早蕨薙真(さわらび・なぐま)

早蕨三兄妹の次男で、薙刀遣い。
後ろで縛った長髪に、侍のような和服姿と時代錯誤なファッションセンス。
やや軽薄な性格で、基本は丁寧語で喋る。


哀川潤(あいかわ・じゅん)

人類最強の請負人。『死色の真紅』『赤き征裁(オーバーキルドレッド)』 。
人外集団である『殺し名』達からも恐れられ伝説視されている。無類の漫画好き。



以下、ネタバレ感想です。



さぁ、零崎を始めよう

今回の主人公である、零崎一賊長兄・“自殺志願(マインドレンデル)”零崎双識登場。
のっけから、ページがびっしり埋まるぐらいの長台詞。
『サイコロジカル』に出た“害悪細菌(グリーングリーングリーン)”兎吊木垓輔同様、いかにも西尾維新らしいキャラだ・・・


私の妹にならないかい?

正当防衛とはいえ、初めて人を殺し、『零崎』として覚醒した女子高生・無桐伊織。
彼女の前に現れた双識は、もう後戻りはできないと告げる。
「人と会えば人を殺す事しか考えられない」の台詞が、いかに殺人鬼がどうしようもない存在であるか示しています。
実は生きていた被害者を、『自殺志願』で華麗に斃す双識。
伊織が、変人という認識を改めかけたところで、
↑の台詞・・・『妹マニアの変態』の本領発揮すかw


私の妹に手を出すな

自宅に戻った伊織を待ち構えていたのは、
零崎一賊に恨みを持つ『早蕨』三兄妹の次男・早蕨薙真だった。
あっさりと伊織の家族を皆殺しにしていた薙真。
さすがは流血三昧の零崎シリーズ・・・全く容赦なしです。
妹のピンチに、颯爽と現れる双識お兄ちゃん!
人間の首を投げ込むというサプライズつきですがw
たとえ操られている相手でも、小学生の女の子が入っていようとも、零崎双識、こちらも容赦なし。


私としてはスカートの中にスパッツをはくのは外道だと思うのだよ、伊織ちゃん
しっかり見てんじゃねぇかよ!

「お兄ちゃん助けに来たよ!」「兄妹愛の成せる業だよ」「妹を束縛したのさ」
双識お兄ちゃん、変態大爆発!(ぉ
伊織ちゃんと見事にボケとツッコミの関係になってるなぁ。
もちろんボケるだけではなく、伊織に『零崎一賊』の本質について説明します。
人に会えば、人を殺す事しか考えられない。殺す事が前提となる。
こういう一般常識的な人間性を全て排除したような人物造型は、
いかにも西尾維新らしいなぁと思います。


・・・あ、あちゃ。悪い、殺しちまった

屋上に舞台を移し、零崎双識VS早蕨薙真の殺し合いが始まる。
早蕨が零崎一賊を付け狙う理由は、妹・弓矢を一賊に殺されたから。
しかもその下手人は、双識の弟であり某『人間失格』だとか(ぉ
遠近ともに隙の無い薙刀の前に、当初は双識が不利だったが、
捨て身の戦法に見せかけた策を発動し、紙一重で薙真に勝利する。
タイトルにもなっている人間試験・・・
別に、合格不合格で殺すか殺さないかを決めるんじゃないのね。

柘植慈恩くん、再び登場。伊織のクラスメイトで、彼女に想いを寄せてたみたい。
でも、偶然出くわした零崎人識に、アッサリ殺されちゃいました。せっかく1話冒頭から生き残れたのにっ!
理由は、「ジャラジャラした飾り物をつけてたから」。
人識くん、戯言シリーズ本編じゃ殺す描写はほとんど無かったけど、
こうしてみるとやはり残酷な殺人鬼なんだなぁと分かります。


俺ァ、すっげぇ会いたい奴がいるんだよ
誰なんだかさっぱりわからねぇが――――
俺ァ、そいつに会わなくちゃならない
そうすれば――――

何かが、どーにかなるんだよ


「会いたい奴」ってのは間違いなく鏡の向こう側・・・いーちゃんでしょう。
こんなに昔から、人識くんはいーちゃんとの運命の赤い糸を感じていたんだねっ!(ぉ
「き、『緊縛女子高生』ッ!」
宙吊りにされてもギャグを飛ばす伊織ちゃんの前に、早蕨三兄妹・長兄、早蕨刃渡が登場。
武士らしい古風な物言いと手にした太刀に似合わぬ、えらいカジュアルないでたちです。
実は、これが後の伏線になっていようとは・・・
刃渡はあの人類最強の請負人『死色の真紅』を雇い、双識を迎え撃とうとする。


なんで火がつかねぇんだ!
ジッポーってのは火ィつけるための道具じゃねーのかよおおおおおおっ!!!


双識、一気にヘタレ化w
何か動揺の仕方がジョジョっぽいぞ
森の中で哀川潤に遭遇した途端、誇りも何も捨てて逃げ出します。
やっぱりこの人、作中のパワーバランス崩しすぎですってば(ぉ
一方、伊織の前に今度は早蕨薙真が現れる。
殺し屋と殺人鬼、どの程度の違いがあるかと聞かれて・・・
「こ、恋と愛の違いですかね?」
「それは越前リョーマとコンバット越前ぐらい違います」

コンバット越前って誰やねん・・・そんな、知名度に圧倒的落差のある比ゆを持ち出されても(ぉ


老若男女、容赦なし、だ

伊織は薙真に抵抗を試みるも、逆に薙真を本気にさせてしまう。
生爪を全て剥がされる事に・・・え、エグ過ぎる・・・
見てる側もとい読む側も痛いとはまさにこの事。
さらには右手首まで刎ね飛ばされるし・・・まさに傷だらけのヒロインだ・・・
一方、双識は『死色の真紅』相手に絶体絶命の危機に追いやられる。
自分が死んだら、他の零崎も報復に出る→返り討ちにあって殺される。
だから絶対に死ねないと考えるあたり、双識の家族への愛情がわかりますな。

しかし、ここで双識は『死色の真紅』の秘密に気付く。
何と、哀川潤は『呪い名』の一人、操想術師・『時宮時計』が作りだした幻覚だったのだ!
『絶対に勝てない対象』を幻覚として登場させる術は、KYOの真クビラを思い出しますな。
双識は如何にして術を見破ったのかと言うと・・・

「相手の後ろを取るための演出というのなら―――――
もっといいものがあるのだよ。
まず間違いなくだが、『彼女』なら、その演出を選ぶはずなのだ。
彫刻刀なり何なりを使って、
幹に『振り向けば死ぬ』云々の文字を彫って待ち構える―――という演出を、ね」


ヴァニラ・アイス戦ですかw
まぁ、『本物』は作中随一のジョジョマニアだしな。
とりあえず、あの『赤色』が幻覚でホッとしましたわ。
さすがに刃が刺さっても死なないのは、ヤバイからなぁ・・・
でも、『本物』ならあるいは・・・と思わせるのが怖い(ぉ
とにかくこれには見事に驚かされた。うまく伏線も張ってて、ミステリのトリックも顔負けですわ。
「私に『彼女』の姿を破壊させたな」・・・最後までヴァニラ・アイスネタか。


待っててね、お兄ちゃん――――

零崎双識は幻覚から復帰するも、深刻なダメージを負っていた。
そんな中、早蕨薙真と遭遇し、リターンマッチに突入するが・・・
実は薙真は薙真ではなく、一卵性双生児の兄・早蕨刃渡だった。
刃渡の計略にまんまとはまり、双識は致命傷を負う・・・
ふーむこれにも驚かされた。今巻二度目のサプライズ。
弟の時代錯誤な和装と、兄の似合わぬ現代風ファッションにそんな意味があったとは・・・
読者ではなく「登場人物を騙す事に説得力を持たせる」のが上手いね。
一方、無桐伊織、零崎として完全覚醒。
咄嗟の機転で薙真を退け、『兄』の下へと向かう。
小屋の方では薙真の前に零崎人識が登場。
曲絃糸でバラバラに切り刻む。
ナイフを使って神業的速さで解体したのか、と思いきや別にそんな事は無かったですね。


て――手前は――何者か
『手前は何者か』。ふん

人類最悪・西東天登場!
刃渡の回想シーンだけど。今も昔も変わらぬ唯我独尊ぶり。
やっぱり眼鏡が『十三階段』への勧誘条件だったのかw
というか、匂宮兄妹も澪標姉妹も眼鏡だし、
『匂宮』には眼鏡をかける伝統があるかもしれない・・・


『あいつ』と違って俺は全然優しくねーぜ?
殺して解して並べて揃えて晒してやんよ


瀕死の双識の下に伊織が駆けつけるも、刃渡に敵うはずもなく、今度は左手首を刎ね飛ばされる。
だが、2人の兄妹の前に、ついに零崎人識が颯爽と現れる!
どこまでもおいしいところばかり持っていく奴です(ぉ
現れるや否や、『欠陥製品』の事について語る人識。あんたどんだけいーちゃんの事好きなんですが(ぉ
人識は薙真の事など知らないし、弓矢を殺した覚えは無いと言う。
単に物忘れが激しいだけじゃ・・・と思ったがそうでもないらしい。
そのカラクリは、時宮時計が哀川潤に化けたのと同じやり口で、早蕨三兄妹は最初から騙されていた。
『匂宮』を『零崎』と衝突させるための『時宮』の謀略だった!
名探偵のように語る人識。冷静さを装いつつも激しく動揺する刃渡。
そんな中で、ナイフを構えた人識との正面衝突に突入するが・・・

結局、二人は激突する事は無かった。
背後から密かに忍び寄った伊織が、口に咥えた『自殺志願』で刃渡の胸を貫いたのだから・・・

「戯言だっつーの 馬鹿野郎」

零崎人識、掟破りの戯言遣い!
『時宮』の謀略の話は、それが嘘であれ真実であれ、
刃渡の動揺と油断を誘うのが目的だった!
さすがは鏡の向こう側、見事に戯言を使いこなしてます。
やっぱりいーちゃんマニアだよ、この殺人鬼。
人を殺す事しか考えない殺人鬼・・・零崎一賊。
彼らゆえのチームワークで、見事早蕨刃渡を撃破する。
う~ん、この作品らしいっちゃらしいが、人識と刃渡との真剣勝負も見たかったな~


零崎を――――開始します

結局、零崎双識はあのまま死亡。
無桐伊織は兄の『自殺志願』を継承し、『零崎舞織』として零崎一賊の一員となる。
その時、人識と舞織の前に人類最強の赤色・・・本物の哀川潤が現れる。
「閉塞(おひらき)に来たぜ・・・殺人鬼」
単独で列車を止めるのとかどんだけ人外やねん。
人識と舞織は、家族として殺人鬼として、『死色の真紅』に立ち向かう。
二人の生死は語られず、結末は『ネコソギラジカル』にて明かされる・・・


最初から最後まで、殺人鬼とは何か、零崎とは何なのかがこの作品のテーマでした。
一戦一戦、趣向を凝らしたバトルも面白かった。
まぁ、もっと互いの全力を尽くした真っ向勝負が見たかったが・・・特に人識(ぉ
実戦は漫画のように正々堂々とはいかない。リアルといっちゃリアルだが・・・


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