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翠蛇の沼

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2007年09月28日
XML
カテゴリ:アニメ
ひぃえええええええ!!!!

現実の殺人事件の煽りを受けての放送中止・・・
そんな伝説を作ったアニメ、スクールデイズの最終回は、
こちらの予想を遥かに超えたバッドエンドでした。

放送中止事件から、様々な意見が飛び交いました。
中止はやり過ぎ、事件性からすれば当然、タイミングが悪かった・・・等等。
しかし、こんな普通にやっても放送禁止になるような、
グロテスクなエンディングになると誰が予想しえただろうか?

弱腰とか思ってしまったテレビ局の皆さんごめんなさい。
こりゃ放送自粛して当然だよ・・・

むしろ、放送中止に皆油断してたんじゃなかろうか。
「テレビ局が過剰に反応しただけで、思ったより大した事は無いんだろう」とか。
放送中止それ自体に気をとられて、皆内容についてはおざなりにしていたのでは。
放送が延びたことで、ちょっと緩んだ我々の気持ちを、
あのEDを一気にドン底まで落としてくれました・・・

あえて別のタイトルをつけるとするならば・・・
「濁血の結末」とでも言うべきか・・・


世界3.jpg

誠「何で子供なんか作ったんだよ!
彼女ヅラして家に居座らないでくれよ!!」


うわ~最終回だというのに、のっけから最低発言するこの男。
こいつ、一人の女に構いだすと、他の事はどうでもよくなるタイプですね。


世界.jpg

男の部屋で女が二人・・・修羅場でしょう

妊娠の事実を振りかざして、自分の言い分をぶちまける世界。
以前の言葉ならば世界の剣幕に圧倒されたかもしれないが、
一度覚醒した言葉は、世界の激情に惑わされはしなかった。
世界の主張の決定的な穴を突く。


言葉.jpg

誠さんを誘惑したのは、西園寺さんの方じゃないですか?

視聴者全員同意w
そう、元々誠は言葉と付き合っており、それは世界も了承していた話。
一度浮気して、けじめもつけぬままズルズル関係を続けたのがそもそもの元凶。
誠も世界もなぁなぁで誤魔化しつつ関係を保ってきたので、
冷静に指摘された途端、欺瞞で塗り固めた脆い主張が呆気なく崩れ去るのは当然の事・・・


最後に、トドメとばかりに誠とのキスシーンを見せ付ける言葉!
頭いい・・・この状況では、誠が自分の言う事を聞くしかない事をよくわかっている。
天然かもしれんが、後々のシーンを考えると、
言葉は全て計算ずくで動いているように思えてくる。


世界2.jpg

せっちゃんの精神攻撃!

ここは結構怖かった。世界の恐怖が私にも伝わってくる思いだった。
刹那の言い分は全くその通りで、
世界が色々策を巡らしたせいで、事態が悪い方向へと転がったのは間違いない。
ただ「そんなつもりは無かった」という世界の言い分もまた真実だろう。
恋する少女にありがちな気恥ずかしさ・・・
それが世界に回りくどい手段を取らせ、彼女自身意図せぬままに、
最悪の結末へと物語を進めてしまったのだ。


メール.jpg

訳すると、堕胎しろ

精神的に追い詰められた世界へ
誠からのトドメのメールが・・・やっぱこいつ、どうしようもない屑だわ・・・
ここでついに世界も覚醒。


そして、全視聴者が待ち望んだ瞬間が・・・


ごめん



(改行がずっと続き・・・)



さよなら



誠.jpg

直後、挿入歌と共に世界が誠を刺殺!!

そのままマウントを取り、めった刺しに!!
誠が死んだらハッピーエンド、とか思ってたけど、
あの苦悶の表情を見せ付けられるとさすがに凹んだ。
まだまだ俺は外道にゃなりきれないようだぜ・・・
つか、あのメールの演出が怖すぎる・・・挿入歌を入れるのも神がかってるな・・・


最低主人公の名を欲しいままにした男、伊藤誠。
その度を越えた最低ぶり、妙に現実的な悪行の数々で、
視聴者を熱狂させ、良くも悪くもこの作品を盛り上げたトリックスター。
その最期は、懺悔すらも許されぬ、ただ苦悶に満ちた死でした。


そして・・・誠の死体を発見した言葉は、世界を屋上に呼び出す・・・


バッグ.jpg

誠くんなら、そこにいるじゃないですか


バッグの中の生首(推定)に注意を逸らしておいて・・・


言葉2.jpg


ブスリ!!

世界も、最初から殺すつもりだったのか、
包丁を取り出して反撃を試みるも、言葉の鉈の方が速かった!!

生首で世界を動揺させ、その隙を逃さず確実に仕留める・・・
覚醒言葉は、精神を病んでいながらも実にクレバーだ・・・
必殺の舞台を整えた上で、確実に敵を殺す。
戦略と、リーチの差が勝敗を分けたな・・・

見るがいい、怯えるがいい・・・これがヤンデレの行きつく先だ・・・!

そして、言葉は世界の妊娠を確かめるため・・・

ギィヤァァァァァァァァァ!!!
こっからはグロすぎて詳細を語ると俺の心が折れます!
ただ・・・
世界の腹の裂け目から言葉が映るアングルには、想像を絶する戦慄を覚えました・・・


中に誰もいませんよ・・・


これは名言になる・・・
もう完全に原作超えたろ・・・これ・・・


言葉3.jpg

そして、恋敵を抹殺した言葉は、誠の首を抱いて、ヨットで果て無き海へと旅立つ・・

彼女は首を斬った後も、まだ誠が生きていると思い込んでいるのかも・・・
世界を殺したのは、敵討ちではなく、
あくまで邪魔者を消すためだった・・・かもしれない・・・


視聴者のほとんどが誠が死ぬエンディングを熱望してましたが、
その結末はというと、誠は世界に刺され、言葉は鉈で世界を殺害、
言葉は誠の首を抱いたまま出航・・・
実際見てみたら、歓喜とは程遠く、ただもう背筋が凍る感じしかしなかったですわ・・・

一つ言えるのは、我々はスタッフの掌の上で踊らされてきたって事です。
原作の内容をしっかりと理解し、
ファンがどんな展開を望んでいるかを的確に把握した上で、
原作をも上回る悪行を誠にやらせる。
視聴者の(半ば冗談交じりの)憎悪と殺意が頂点に達したところで、
あのバッドエンドで一気に欝のドン底まで叩き落す・・・
もはや、アニメスタッフは神としかいいようがない・・・


ED後の、にこやかに学園生活を送る乙女や泰介達を見たら・・・

「三人の悪魔は滅びた。学園は平和になった!」

みたいな感じで、これまた虚無感を煽る・・・
あの三人が、どれだけ悩み苦しみ凄惨な結末を迎えようと、
所詮は他人事であり、日常は変わらず続いていく・・・


ここで挿入される誠の語り、これは物語の初めに誠が抱いていた思い。
最初は純粋な思いで始まった物語も、
運命のすれ違いと、一人一人の身勝手な思いによって、最悪の結末を迎える事となりました。

誠と世界と言葉。
誠は言葉と付き合い、世界に誘惑されたせいで異常性欲に目覚め、
言葉は世界に陥れられ、誠に裏切られたせいで精神に異常をきたし、
世界は誠に浮気され、言葉とは徹底的に対立し、
そのせいで最終的には人を殺し、自らも殺される羽目となる。
この三人は互いが互いに悪影響しか与えず、その結果があの惨劇・・・
まさに、悲劇の化学反応・・・!

もしも誠がいなければ、
世界は刹那と真の友情を育み、言葉は妹の心と幸せに暮らしたかもしれない。
誠にしても、世界や言葉に絡まなければ、
乙女あたりを相手に今時の高校生らしく、呑気にただれた性生活を送っていたかもしれない。

性欲だけは人一倍の癖に、恋愛に対してどこまでもいい加減な誠。
それと対照的に、独占欲が強く、恋愛に対してどこまでも真剣だった世界と言葉。
決定的に噛みあわない三人は、ヘビ・カエル・ナメクジの三竦みのようで、
同じ檻に入れられた以上、互いに食い殺しあうのは必然の結末だったのでしょう・・・


二度目になるけど、これを生み出したアニメスタッフは素晴らしすぎる・・・
この最終回を世に解き放った時点で、既に勝利したといってもいい。
放送中止事件と合わせて、越えられない伝説としてアニメ史に残るだろう・・・


グロテスクなシーンに気を取られがちだけど、
全体的なシナリオの出来も素晴らしいと思います。
人間の醜さ、欺瞞、狂気、修羅場、そして惨劇・・・
スクールデイズという作品における重大な要素を全てつぎ込んで、実に隙が無い。
登場人物の闇を暴きつつ、暗黒の結末へ堕ちて行く流れはただただ息を飲むばかり。

言葉の妹の心が映るシーン。
ここは、欝展開が続く中での清涼剤かと思いきや・・・放送が終了した後は、
「姉を喪う事になる心が、これからどうなってしまうのか?」
を、視聴者に喚起しているように思えた。

深みに嵌る前に海外へ逃亡した刹那、
何も気にせず平和な青春を送る他の生徒達に比べると、
一番の被害者は心じゃないかなぁ・・・と思ったり。



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Last updated  2007年09月29日 23時25分52秒
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