天元突破グレンラガン 総評
最終話本感想はこちら 前編・中編・後編重ねて言うが、最終回は神がかっていた。どこが凄かったかというと、もうありすぎてあげられないくらい。銀河スケールの最終形態、銀河フリスビー、上川隆也の熱演、俺の嫁は宇宙一スイング、タラコの確率変動弾、銀河をこねてビッグバンを作る、ロージェノム巨大ドリル化、二重螺旋宣言、マトリョーシカ大作戦、最後はラガンでとどめ、結婚式、ニアの消滅、穴掘りシモン、マントを翻し去っていくシモンの漢の背中・・・そして、こちらの予想を超越した20年後のCパート・・・・全てが全て、凄いというしかない。我々はアニメ界の神話が誕生する瞬間に立ち会ったのだ。私がグレンラガンを見始めたキッカケは、某所で見たカミナのセンス溢れる台詞だったりする。あの「無理を通して道理を蹴っ飛ばすんだよ!」に代表されるカミナ節ともいうべきべらんめぇ口調は、従来の巻き込まれ型ばかりのロボット物主人公にはない、斬新な主人公として映ったものだ。ところが、カミナは8話であまりにも早すぎる死を迎えてしまい(4,6話は個人的には無かった事にしたいから、実質は6話程度・・・)悲しいとか燃えるとかいうよりは、酷く困惑したのを覚えている。その後物語は、失意の底に沈んだシモンの成長を軸に描き、ニアみたいなテンプレなヒロインまで登場し、何だか、襲ってくる苦難に主人公たちが巻き込まれていく、普通のスーパーロボットものみたいになってしまった。この変化に、最初は自分の望んだ形とは違うなぁ・・・と思ったものだ。何か、もっと荒唐無稽で馬鹿っぽいのを期待してたもんで・・・されど・・・知っての通り作品のクオリティは、ここから先、常に一つ抜きん出たクラスで安定していく。新たな敵・螺旋王四天王との戦いを中心として、毎回毎回見せ場があって、飽きさせない。何と言うか、シナリオに隙が無い。1話1話、きちんと盛り上げどころを作り、どの話も次のエピソード、これからの展開へ必要な要素・伏線を入れている。それはグレンラガン全体にも言える事で、常識を突き破る、荒々しい作品のイメージとは異なり、実に緻密に計算されたシナリオ、シリーズ構成の巧みさを感じた。全27話(総集編があるので実質は26話)、なるべく『遊び』を省き、全体の流れに必要な部分のみを抽出して構成した・・・そんなイメージがある。だからこそ、例え性急であってもカミナは8話で死ななければならなかった。彼が活躍する第1部は、あくまでキャラ紹介の意味合いが強く、まだ『遊び』の部分が残っていた。ストーリーの核・・・シモンの成長物語に話数を裂くためにも、彼には早く退場してもらう必要があったのだろう。シナリオの凄さは、キャラ一人一人の扱いにも言える。シモンを成長させるため、突然すぎる死を遂げたカミナ、理想と現実という、第3部のテーマを描くため、ヒールに徹しさせたロシウ、作中のインフレ展開に登場人物達が追いつけるよう、科学と発明でフォローしていたリーロンとレイテ、アンチ・スパイラルとの戦いの凄惨さを示すため、次々と散っていった大グレン団の仲間達、第3部で株を上げつつ、第4部で最高の散り様を見せたキタン、第2部の大ボスを務め、後半の超科学展開における語り手となり、最後は勝利の決め手になって消滅したロージェノム・・・どれもシナリオにおける重要な役割を果たさせつつ、キャラの魅力を最大限に引き出す展開を用意している。ロシウやキタンなどは、個人的にはありがちな、個性に乏しいキャラというイメージだったのに、第3部、第4部を通して一気に魅力を開花させていった。とまぁ・・・シナリオ面では大絶賛したけれど、私個人は、第2部以降、登場人物にはほとんど思い入れが無かったりする(ぉぶっちゃけ、好みのキャラがいなかったのだ。私が好きなのは、度を越えた奇人・変人なので、それに当てはまるのは途中で死んだカミナぐらいで、後は皆普通のキャラだなぁ・・・というイメージだった。ヴィラルは外見と声優補整で結構好きだったけどwこんな感じなので、第2部以降は特に感情移入も無く、ただ盛り上がるストーリーを期待して見ていた。他の視聴者に比べると、驚くほど冷めていたと思う(ぉ終盤のシモンやキタンは凄かったけど、あれはキャラよりはシナリオと演出の効果だしなぁ。私がグレンラガンを『歴史に残る神作』と絶賛しても、決して今期ナンバー1の評価を下さないのは、その辺が理由だったりしますwただ、最後のシモンの台詞は結構痺れた。「俺は穴掘りシモンだ」自らの生き様を示す台詞に、ようやくシモン自身の魅力が分かった気がしました。後特筆すべきは・・・ロボット物の限界を超える程の、凄まじいインフレ(ぉここまでやってしまった以上、スーパーロボット大戦に参戦は不可能でしょう。最初地上に人間がいない世界ってだけで無理があるし・・・序盤はデフレ、終盤は一気にインフレ・・・そんな作品でした。そこが残念ではあるけれど、そういう計算を一切捨てて、ただ「天元突破グレンラガン」という作品のために全てを費やしたスタッフには拍手を送りたい。面白かったらクリックお願いします