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カテゴリ:読書・コミック
マンガワンで「火の鳥-ヤマト編-」を読んだ。
<あらすじ> 初出:『COM』(1968年9月号 - 1969年2月号) 4世紀頃の倭(日本)。古墳時代。主人公のヤマト国の王子、ヤマトオグナは父である大王からクマソ国の酋長・川上タケルを殺すことを命じられる。その理由は川上タケルが真実を書いた歴史書を作ろうとしているからであった。大王は、自分たちは神の末裔であるとする嘘の歴史書を作ろうとしていたため、川上タケルがやろうとしていたことは不都合であった。オグナは川上タケルの妹であるカジカと出会い恋に落ちるが、迷いながらも父の言いつけ通りに川上タケルを殺す。タケルは死に際に「わしの名前をやろう。これからはヤマトタケルと名乗るがいい」と名前を譲る。愛したカジカに、仇として命を狙われる事となったタケル。二人の愛はやがて悲劇へと向かって行く。(wikiより) 作品は日本武尊の伝説、石舞台古墳造営の裏話、埴輪の誕生秘話を絡めて描く。 ・実験的要素・ギャグが黎明編よりも多く、冒頭から大王の肖像画にヒトラー風、ピカソ風が存在する、語り部をカセットテープになぞらえてる、大王を讃える歌が「鉄腕アトム」の歌の替え歌、古墳建設予定地に学生のデモが・・とかが登場。 古墳建設予定地にデモが・・ってのは60年に安保闘争が起こった、60年代後半に安保の自動更新反対などを唱えた学生運動が盛んだったから? ・ヒロインのカジカが登場するシーンでは・・武勇を尊ぶ熊襲の中にあってインテリな兄を軟弱となじるカジカ。顔が少女漫画風、石川啄木の短歌「東海の小島の磯の白砂にわれ泣きぬれて蟹とたはむる」をもじったセリフもあります。 ・川上タケルの人柄がいいので始末できず、悩むオグナ。雑誌の人生相談風のコマ割りが笑いを誘う。 ・作中で川上タケルは、"長島"なる部下に「王」と呼ばれている。これは初出時には川上タケル=川上哲治として、クマソを連載当時の巨人軍に見立て、その部下の長島=長嶋茂雄という洒落であったが、川上が監督を引退したので、川上タケルを王貞治(現役時代は一本足打法で有名だったとか)に見立てる内容に改稿したため。 ・熊襲の村の長老と出会い、火の鳥のことを聞くオグナ。熊襲の長老は黎明編最後のシーンで外に憧れ、絶壁を登りきった青年が老境に入った姿。外に出た彼は妻となる女性を見つけて熊襲の国を再興させたことが語られ、ここでも「つながり」を感じることが出来る。なぜ火の鳥の血を飲まなかったのか?と長老に聞くオグナ。長老は「死なないことが 幸せではないぞ。生きているあいだに、自分の生きがいを見つけることが大事なんじゃ」と諭す。永遠なんて虚しいだけですからね。 ・女装して川上タケルを倒す、草薙の剣の伝説、父に疎まれてると日本武尊の伝説になぞらえたところがあったり。 ・火の鳥と出会い、笛で心を通わせるオグナ。彼は火の鳥の血は欲しいけど、それは自分のためではなく、父王が死んだ時に死出の供をさせられる無辜の民を救うため。その「誰かのため」の精神に心打たれた火の鳥はオグナに血を託す。大和へ帰り、父王の御陵の建設責任者になったオグナは古墳の無意味さを父王に知らせるため遊園地風に古墳を作ってしまったことから父王の怒りを買うことに。無駄に死んでいく人々を救いたいオグナは宝物庫で見た土人形を見て兄を説得。土人形や父が生前使っていたものを人間の代わりに埋めれば殉死者は減ると説得するも聞き入れてもらえず、殉死者の列に加えられてしまう。で、以前もらった火の鳥の血を使って、一時的な不死になり埋められた状態で抗議することに。「いけにえ反対!殉死廃止!」「無意味な殉死反対!」「ああ、許すまじ殉死の習わしよ~」とうめき声を発する殉死者ら。これは「日本書紀」にある垂仁記の中の殉死者の声が数日にわたって聞こえたという伝説が題材になってるとか。 最後は火の鳥の血の効き目がなくなり、オグナとカジカは天国で結ばれる・・という展開に。天国で結ばれる・・という展開、復活編でもレオナの物語がそうだったからなぁ <訂正された箇所> ・大王を讃える歌 単行本:「心優しいラララ大和の子。十万馬力だ鉄腕大王」(アトム主題歌の替え歌) 連載時:「海ゆかばみずくかばね 山ゆかば草むすかばね」 ・「古事記」と聞いて・・・ 単行本:「近代的にルンペンと改題せい」 連載時:「近代的にヒッピーと改題せい」 連載当時はヒッピーが幅を利かせていたから上記のセリフになったのか? ・雑誌版では川上タケルがオグナを出迎えた場面で、手塚の学生時代の体験談である「日本とアメリカが都合のいい様に相手国を中傷していた」という2ページに渡った内容があったが単行本時に省かれている。 (「手塚治虫の奇妙な資料」から) 【中古】その他コミック COM名作コミックス 火の鳥 ヤマト編・宇宙編(A5版) / 手塚治虫 小説火の鳥 ヤマト編/手塚治虫/大林憲司【2500円以上送料無料】 【中古】 火の鳥 ヤマト編 /手塚治虫(原作),井上和彦,鶴ひろみ,屋良有作 【中古】afb 「鳳凰編」「宇宙編」と共に角川春樹治事務所プロデュースで制作された作品。原作にあった史実を無視したギャグと歴史書に関する件がカットされてシリアス寄りの展開に。 オグナは井上和彦、カジカは鶴ひろみが担当。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Jul 4, 2017 06:49:11 AM
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