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カテゴリ:その他
写真の花は「ミツマタ」
仕事場での人間関係をスムースにするには、まず挨拶は欠かせませんね。朝、出会った人の全てに「お早うございます」。退出時には「お先に失礼します」。先に出る人には「お疲れ様」の一言を。「ご苦労様」は目下の人へのねぎらいの言葉ですから、目上の人に言うのは失礼です。 夢1 伴大納言の夢 今は昔、伴大納言善男という男が居た。 善男がまだ佐渡の地方官の従者だった頃、平安京の東寺と西寺を股に架けて立っている夢を見た。 このことを妻に話すと、 「あなたの股は、そのうち裂けてしまうでしょう」 と言ったので、善男は驚いて、つまらぬことを話してしまったと思った。 主の地方官の家へ行き、その話をすると、この地方官は人相見や夢解きをする人だったので、話を聞いたとたんに善男を座敷に上げ、座布団まで勧めるので、善男は驚いて、妻が言ったように、私の股を裂く気ではないかと思った。 地方官は、 「お前、末は高い身分の人になる夢を見たが、それを妻に語ってしまったので、高貴な地位についても、事件が起こって無実の罪を蒙るかもしれない」 と言った。 善男はその後、縁があって都へ上り、大納言にまで出世したが、政治的ライバルによって、応天門放火の罪を被せられた。 夢2 夢を盗んだ人 備中の国の豪族の息子に、吉備真備(きびのまきび)という若い人が居た。 ある時、夢を見たので夢解きの女の所へ行った。 夢を解いてもらった所へ、国司の長男の太郎が、お供を引き連れてやって来た。太郎は17歳ぐらいで、気性は分からないが見かけの良い男だった。 「ここが夢解きの女の家か?」 「はい、左様でございます」 真備は隣の部屋に隠れて、太郎の話を聞いていた。 太郎の夢の内容を聞いた夢解きの女は、 「素晴しい夢でございますよ、将来は大臣にまでなれるでしょう、おめでとうございます」 と言った。 太郎が嬉しそうに帰ってしまうと、真備は女に、 「夢は盗ったり売ったりできるそうだな、あの太郎の君の夢を私に盗らせてくれませんか、国司は四年の任期が過ぎれば都へ帰ってしまうが、私はこの地の豪族だから、いつまでも長くここに住み続ける、私の方がお前にとっては大事な者だ」 と言った。女は、 「仰る通りです、では太郎の君がしたのと同じ事をして、同じ話を少しも異わずに話してください」 と言うので、真備はさっき太郎が来た時と同じように家に入り、同じ話をした。 その後真備は、都へ上り勉強して目覚しく上達し、学識のある立派な人になった。 帝は真備の噂を聞いて呼び、まことに才深くあると思い、 「唐へ行って、様々なことを勉強して来なさい」 と言って、官職を昇級させ、唐へ留学させた。 真備は、後に大臣になった。 夢を盗られた太郎は、大臣どころか官職さえなかった。 おわり 現代語「源氏物語・須磨」はこの前にあります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009.02.16 13:22:16
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