松尾芭蕉 3
俳聖松尾芭蕉は、日本ばかりか世界でその作品が愛誦されている。芭蕉は、人生は旅であると言い、自然を愛し、風雅の誠を極めるため旅を繰り返した。彼の俳句に文学的価値を見いだし、あるいは、歴史的人物にとどまらず、旅を通した実体験の中で作られてきた俳句を通して、人生観や自然観など、哲学的なものを感じ取ることができる。それは経済を追いかけてきた現代の日本人に欠落してしまったものであり、真に豊かで成熟した社会を目指すためのよりよき教材となり得る。芭蕉は、1644年に伊賀上野で生まれた。松尾儀左エ衛門の次男で、兄1人、姉1人、妹3人の6人兄弟である。生誕の地は2つの説があり、伊賀町柘植の拝野と、もう1つは、上野市赤坂町を生誕地とする説である。父親は伊賀町に住んでいたが、後に上野市へ移っており、どちらも松尾芭蕉に縁の地であることには間違いないようである。伊賀町教育委員会の説明では、「松尾芭蕉が生まれる前に引っ越していれば、上野市が生誕地、生まれた後であるならば、伊賀町が生誕地である」とのことである。芭蕉記念館の展示室には、芭蕉以外の資料、所蔵物が展示してあり、その中に、宗像志功の俳句もある。庭園には小さな滝のある池が配され、芭蕉が詠んだ植物が植えられている。展望庭園は、隅田川と小名木川に隣接し、水辺の風景が楽しめる。