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蒼き氷の女神 19『失われし者からの言葉/氷の女神』 後半
そう、よく考えればおかしな話だったんだ。 ハイネの聖印を持っていた事。 あたしが氷の女王と契約するのを待っていた事。 たった二つの疑問。だけど、とても重要な二つ。 あたしは、ハイネの聖印によって死ぬ事を拒んだ。 あたしは、氷の女王と契約することによって、狂った氷霊さえも従える力を得た。 まるで、それは・・・・ 「あたしを助けてくれたのは、何故?」 彼は黙して目を閉じる。 これは決して思い違いじゃない。 なにより戦いは甘いものじゃない。 あれだけ隙があれば、彼は何度でもあたしを殺せたはずだ。 それほどまでに黒衣の男の実力はあたしのソレを大きく上回っているはずだ。 だけど彼はあえてその力を抑え、あたしと戦った。 それはつまり。 「あたしを救ってくれたのは、何故?」 確信は・・・ある。 「ハイネ、ちょっとここに来なさい」 それはアウグスタの夜。本拠地である宿であたしはハイネに注意をした。 「はい? なんですか、ちぇる姉様」 「そこに正座しなさい」 「え・・・?」 「いいから」 ハイネはわけがわからないというように疑問の顔を浮かべる。 「貴女はなんでそういつもいつも挙動不審なの・・・」 「ひ、ひど・・・」 ああ・・・また泣きそうな顔に。 「・・・まぁ、いいわ。貴女はちょっと状況把握能力・・・観察力が足りないよ?」 「観察力・・・ですか?」 そう、つまり周りが見えていない。 簡単に言えば周囲への注意力が足りないために、自分が今どういった状況にあるか把握できていないのだ。 そのために彼女は常に周りの変化に戸惑い、ふとした変化に挙動不審と言われても仕方ないほどに戸惑ってしまうのだ。 だからこそ、彼女は余裕を持たなければいけない。 それを可能にするのは、つまり観察力。 「で、ではちぇる姉様。どういったところを観察すれば、状況把握が出来るのですか?」 それは人それぞれなんだろうけれど・・・あたしの場合は。 「あたしがよく見てるのはね・・・」 行動の経過と、相手の目。 目は全てを語るという言葉があるけれど、それは本当の言葉だと思う。 真剣に相手と相対する時、目はその人の本心を明らかにしてくれる。 迷い、疑惑、怒り、喜び・・・そして、決意。 彼の目に、悪意はない。なによりもそのまっすぐな・・・まっすぐすぎるその目はあまりにも綺麗だ。 誰かを傷つける時の人の目は、何かしら負の感情が含まれている。 彼にはそうした感情が見えない。 だからこそ、あたしは確信する。 彼は、あたしを救おうとした、と だが、彼は沈黙を保ったままだった。 あたしも黙って彼の目を見る。 そして・・・ 「終わりましたのね」 紅い神官が、現れた。 続く 必要のない戦いだったのかもしれないけれど、それでも人には戦わないといけない時があります。 黒い神官が何故戦っていたのか・・・それは次回明かします。 そして戦いは終わり、最後の舞台へと移ります。 で、もうひとつ・・・ 前後半になってしまってすいません(TωT)あと、色々足りなくてすみませんorz では次回、『其の名は』にて御座候。 そんじゃねーヾ(゚ω゚)ノ゛ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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