ボリショイバレエ「ライモンダ」観て来ました。
一昨日はびわ湖ホールでのボリショイバレエ「ライモンダ」を観て来ました。バレエ観るのは昨年夏のABT「ロミジュリ」以来だけど、クラシックバレエを観るのって、一体何年振りなんだろう・・ってくらいもの凄い「久しぶり感」がありました。はぁ~、あんなに好きであれだけ観まくってた時期を思うと、ちょっと何と言うか、複雑な気持ちにもなりますね。今はもう私、完全にフィギュアスケートの方が好きになっちゃったんだな・・さてその「ライモンダ」ですが。ライモンダを演じてくれたのは当初の予定通り、アレクサンドロワ。彼女は来日の機会も多く、前回08年の来日時にもここびわ湖ホールで「明るい小川」のバレリーナ役を踊ってくれています。フェスティバルホールでの「白鳥」も素晴らしかったし、更にその前の「バヤデルカ」でのガムザッティ等、日本で観る機会にはかなり恵まれている人。本当に素晴らしいバレリーナだと思うし、嫌いじゃない。っていうか役によってはもの凄く好きだとも思うんだけど、ライモンダという役で観るには、私はちょっと好みじゃなかった。こんなこと言っちゃ身も蓋もないのかも知れないけど、やっぱり彼女は脚が太過ぎる、じゃない逞し過ぎる・・ひたすら細く美しい脚のダンサーが好きな私にとってはどうしてもそこが気になって気になって。いまいち浸れなかった。まぁ考えてみれば最初から分かってたことなんだけどね。けどオデットではそんなに気にならなかったんだよねぇ。オデットでは、強靭な意志の持主として映り、あの逞しさは却って彼女の個性となり、力強い存在としてオデットを捉えることが出来て、彼女のオデットは私は好きだった(グリゴローヴィチ版のオデットとしてはちょっと、と言うか全然方向性が違うと思うけど)。けど、ライモンダという役、この役はダメだわ。ライモンダって、本当に「お姫様」なんだよね。蝶よ花よと育てられた非の打ちどころのないお姫様。こういう役は、ひたすら「美しさ」で魅了してくれるダンサーじゃなきゃ私は嫌だ。1幕、2幕を観ている間中、私はああ、これをザハロワで観たかった!という思いを捨て去ることがどうしても出来なかった。ザハロワだったらさぞかし!みたいな、アレクサンドロワには本当に申し訳ないんだけど、どうしてもそんな風に思ってしまって。アレクサンドロワの「華」は、本当に素晴らしいんだけどねぇ。その点に関してはザハロワにもそんな負けてないと思うんだけど、何しろ逞し過ぎて・・個人的にはアンリエット役だったアンナ・ニクーリナのライモンダが観てみたいと思った。小柄な感じだけどプロポーションのバランスが良く踊りも上手でついつい眼が行ってしまう存在だった。そんな訳で1幕、2幕はいまいち入り込めず、けどアレクサンドロワの「華」は素晴らしいので(テクニックが素晴らしいのは今更言うまでもない)それだけを頼りに観ていたような状態だった(アレクサンドロワは演技も良かったと思います)。ジャン・ド・ブリエンヌ役のスクヴォルツォフは普通に良かったです。アレクサンドロワが輝きまくってたのでちょっと貫禄負けしてる感はありましたけど、まぁアレクサンドロワに張り合える人の方が珍しいだろうし、最初から大して期待してなかったので(失礼過ぎる物言いですみません)普通に良かったと思いました。白いマントを翻す姿は美しいですね~。ジャンと別れてライモンダは夢の中へ。この夢の場でコール・ドが出現するシーンは壮観の一語。思わずため息が漏れました。コール・ドは踊りもなかなか良かったと思いますが、なにしろコール・ド・バレエが出てくるような古典を観るのが久しぶり過ぎて素晴らしいのか、それなりなのか、いまいちよく分からなかった・・出現シーンだけもの凄く印象に残ってます。で夢の場と言えばいよいよアブデラフマン登場。一昨日はドミトリチェンコでした。ボリショイのアブデラフマンって、夢の場に本当に「突然」現れるんだね。っていうかこれが普通なのか。「ライモンダ」って私、新国の牧版しか観たことないから「普通」がどんななのか良く分かってないんだけど(映像でも全く観たことない)、夢の中に突然現れる異形の男・・なんかエロいです。「オネーギン」でも思ったことですけど。見も知らぬ男が突然現れて何だか知らないけど暴れまくる設定って、やっぱりエロスの要素があるんじゃないですかね?びみょ~にライモンダもその気になってるっぽいし?はぁ~、しかし夢は覚め、その男は現実の存在としてライモンダの前に現れ、彼女に求愛する。いやもう、明らかにアブデラフマンは異世界の人ですよ。ライモンダやその周囲の人にとってはね。観客にもそれは明らかな訳で・・アブデラフマンの恋が実るなんて、多分誰も思ってない、この物語の筋を知らない人でもね。案の定正義の味方ジャンが帰国し、すんでのところでライモンダを救出、決闘の末悪は滅びた・・めでたしめでたし、という水戸黄門も真っ青!の超単純なストーリー展開な訳ですが。まぁ、クラシックバレエに「ストーリー」を求めること自体に無理があるので(少数の例外を除き)アホらしくなってくるような話の展開には何も言いますまい。いずれにせよやっと3幕の幕が開き、遂にアレクサンドロワの真骨頂!「お姫様」として見た場合若干違和感のあった彼女ですが、「女王様」となった(いや別に物語上は単に結婚式というだけですけど)彼女は、文句なく素晴らしい!青い(青緑?)チュチュが本当に良く似合う。女王の威厳に満ちたその姿を一目見ただけで私は満足してしまったくらいだった。何度もしつこいけど、アレクサンドロワの「華」は本当に素晴らしいです!劇場中を支配してしまうかのようなあの圧倒的な存在感!はぁ~、この3幕のグラン・パ・ド・ドゥだけは、本当にアレクサンドロワで観られて良かった!と思いましたね。気が付けば長くなり過ぎました。続きはまた次回に。と言っても「次回」は一体いつになるのだろう・・