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全日本選手権女子、表彰台に上がったのはやはり、事前の予想通りのこの3人だった。
鈴木選手、村上選手、浅田選手。 五輪にも目出度く出場が叶った。皆さん、本当におめでとうございます! 今回はやはり、鈴木選手と村上選手が素晴らしかったな、という印象。鈴木選手のプログラムはどれも名作といっていい素晴らしいものが多いけれど(と言うか鈴木選手ご自身が素晴らしい作品に仕上げているのだけれど)、今季の「愛の讃歌」「オペラ座の怪人」は、どちらも見ているだけで鈴木選手の創り出す世界に引き込まれ、魔法を掛けられたかのように素敵な気分に陥る、本当に素晴らしいプログラムだ。鈴木明子の創り出すあの世界は凄い。あれだけの世界を創り出せるスケーターというのも、そうそう存在しないと思う。彼女の創り出す世界というのは様々な顔を持っていて、刻一刻と様相を変える、正に目の離せないものだけれど、基本にあるのは「暖かさ」だと思うのね。愛とか、喜びとか、ぬくもりとか、人の心の優しい部分に働きかける、極めて健全と言うか、 人間としての素晴らしい部分、喜ばしい部分、そういったこの世の中の素晴らしいもの、賛嘆すべきもの、を描き出すことに非常に長けていて、だから私は、彼女の滑りを見るといつも、何とも言えない幸福感に包まれ、心が暖かくなるのだ。恐らく「演技」ではないのだろう、と思う。鈴木選手ご自身の人柄の暖かさ、優しさといったものが全て氷上で表現し尽くされるのだろうと。演技力ではない、心の底から湧き上がってくる衝動のようなものが鈴木選手を突き動かし、彼女の中にある暖かさが、音楽と言う衣装をまとって踊り出すのだろう。だから彼女の演技を見ていて、皮相的 な印象を受けることは全くと言っていい程、ない。 そして勿論彼女のあの、卓越したスケーティングスキル。全てがあのスケーティングスキルから始まっている。氷上であれだけの世界を創り上げるには、先ずやっぱり、足元に自信が無ければ始まらないもの。彼女の加速感溢れる、緩急自在のエッジワーク。良く伸びる滑らかなスケートは、見ているだけで心地よい。多くのスケーターからは、トップ選手と言えどもやはりどうしても「摩擦」というものを感じてしまうのだが、彼女の滑りからは全くと言っていい程感じることは無い。 何をおいてもやはり「滑り」なのだ。フィギュアスケーターの生命線。フィギュアスケーターの生命線は決して「ジャンプ」にあるのではない(高難度ジャンプの魅力も勿論良く分かってはいるけれど)。 そして2位になった村上佳菜子。彼女はまた、非常にダイナミックな演技で魅了してくれる選手だ。装いを新たにした「ヴァイオリン・ミューズ」は、正にこれぞ村上佳菜子!と言える素晴らしい演技だった。正直私は圧倒されてしまったよ。佳菜子ちゃんの放つパワーの凄まじさに。 大仰でメリハリの効いた、押し出しの強い演技。輪郭のくっきりした実に鮮やか極まる演技。 鮮烈という言葉がこれ程相応しい演技も無いだろう。佳菜子ちゃんの魂がヴァイオリンの旋律に乗せられて、美しい旋律をいよいよ美しく響き渡らせる。音楽が、これ程美しく聞こえるなんて。私は心底感じ入ってしまったよ。2シーズン前のこのプログラムも好きだったけど、今回の「ヴァイオリン・ミューズ」はもっと好きだ。私は「強い女性」が大好き。だから、「強さ」を強烈に感じさせてくれる今回の佳菜子選手の演技には本当に打たれた。佳菜子ちゃんの表現する「強さ」というのは、何というか、人間臭さというものがかなりの割合で含まれていて、人間の業とか、原罪とか、そういう人間の「負」の要素、そういったものも全てひっくるめて「強さ」として表現されているように感じるのね。鈴木選手の表現する世界とはまさに対照的。人間の「正」の要素、素晴らしさを謳い上げるのが鈴木明子の真骨頂だとすれば、村上佳菜子が謳い上げるのは人間の「負」の要素、それを含めての人間の「強さ」。 2人とも本当に凄い。そしてこの2人とはまた次元の異なる世界に浅田真央がいる・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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