2013/04/06(土)18:32
百人一首 第35番歌 人はいさ 心も知らず ふるさとは 花ぞ昔の 香ににほひける
百人一首 第35番歌
人はいさ 心も知らず ふるさとは 花ぞ昔の 香ににほひける
ひとはいさ こころもしらず ふるさとは はなぞむかしの かににほひける
作者:紀貫之(きのつらゆき)
866?~945? 平安前期を代表する歌人で平安時代最大の歌人。三十六歌仙の一人。
『古今集』の撰者の一人にして古今集の歌論として有名なひらがなの序文「仮名序(かなじょ)」と、我が国最初のかな日記文学「土佐日記」の作者として知られる。土佐日記は、土佐守の任を終えて都に帰るときの旅の様子を1人の女性に託してひらがなで書かれた日記。
この歌は古今集に収められた歌で、詞書に「初瀬に詣づるごとに宿りける人の家に、久しく宿らで、程へて後にいたれりければ、かの家の主人、『かく定かになむ宿りは在る』と言ひ出して侍りければ、そこに立てりける梅の花を折りて詠める」とどんな状況で詠んだ歌であるかの記録が残っているというから驚きですね。(千年以上前に詠まれた歌にかかわらず)
かつて長谷寺へお参りに行くたびに泊まっていた宿に久しぶりに寄ったなら、仲のよかった女将に「見てのとうり宿は当時のまんまであるというのに」(あなたは心変わりされたのか長い間おいでにならなかったですよ)と言われた。そこで、紀貫之は辺りの梅の枝を折りこの歌を詠んだということになります。
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