究峰森泉

究峰森泉

壁の拾

森陽ファイル――大金星も夢じゃない


記念すべき壁ブック第十回は、関東の強豪にも通用した准壁ブックをお届けします。
幸運が重なって、まだ一度も対人戦では負けていません。アイテムの偏りと思
い切ったスペル編成……私がこういうブックを作るのは稀なことです。

このブックはマルセスブルク専用です。他所でやっても使えないことはないと
思いますが、その際には必ず「仮想敵の想定」という作業が必要になります。
それは後ほど語るとして、まずはブックをご覧あれ。

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

◆石板術師の挑み歌◇
 マルセスの海より     まるせすのうみより
 覗く坊主様拝めば     のぞくぼんずさまおがめば
 鰹の波がくるかも     かつおのなみがくるかも

ブック名:『パダチュラサ』

クリーチャー 19枚
スチームギア×3 ゾンビ×2 アンダイン×2 イエティ×1 ★シーボンズ×3
ドルール×2 フェイト×3 ブラッドプリン×2 ボジャノーイ×1

アイテム 7枚
ウォーターアムル×1 グレムリンアムル×2 ゴールドグース×4

スペル 24枚
インフルエンス×2 ★クイックサンド×2 ★サプレッション×3
シンク×3 ヘイスト×4 ★ホーリーワード3×3 ホーリーワードX×2
マナ×2 ミューテーション×2 レイクリープ×1

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

○マルセスブルク専用戦略~コンセプトは踏ませて勝つ~

一目見てわかるシーボンズブックですみません。
ミューテーションで強化、クイックサンドではめて通行料大漁狙い。
といっても、それを成功させるために色々な策を練っているのです。

まず、なぜここでシーボンズなのか。
マルセスは風と水の土地が少なく、不利。安定力があり、バジリスクという強
力な侵略手段もある地がメタ(流行)の主流だといえます。

そこをあえて水でいったのは、被りにくい=土地を取りやすい、と考えたから。
プラス要素として、ここは踏みで試合が決着しやすいマップです。踏み勝負と
なれば、最も安定する拠点はシーボンズ。武器も巻物も、バジリスクも効きま
せん。相手に地形変化スペルを打ち込まれさえしなければ、なんとかなるだろ
うと考えました。

☆戦略1 ペースダウン

下準備をするには、何かと手間暇かかります。シーボンズはいきなり置くより、
他の土地をレベル3あたりに上げてからそこで配置交換したいものです。
そんなことをする間に、パーミッションによる高速周回と第三者の踏みで試合
が決してしまっては元も子もありません。

そこで試合全体のペースダウンを考えました。それを成さしめるのはサプレッ
ションのカード。これでパーミッションやホーリーワードXを切ります。自分
もXを二枚入れていますが、これとサプレが揃った時は容赦なくXをサプレし
てしまってください。また、シーボンズの天敵の地形変化スペルを切るのも手
です。

サプレッションの優先順位としては、
1.パーミッション
2.シンク、インフルエンス以外の地形変化スペルかメズマライズ
3.ホーリーワードX、ランドトランスその他厄介そうなカード

パーミッションを切るのはペースダウンの意味合いの他に、“南エリアも回ら
せる”という狙いがあります。南の水土地を通らねばならない、すなわちこち
らの領地を踏む確率を上げるということです。
この意味でも、サプレッションがうまく機能するかどうかが、勝敗の分かれ道
となります。


☆戦略2 グースの山と見慣れぬカード

さて、ペースダウンに成功しても、次に問題となるのは拠点を作るための資金
捻出。踏ませて勝つブックなのに、拠点が作れないではお話になりません。
そこで活躍するのがゴールドグース。念入りに、4枚も入れています。これで
遺産を決めまくって、大量の魔力を獲得してください。

クリーチャーコストがやや高めなので、グースとも相性のいいゾンビを採用す
ることにしました。グースが無い時、使い切った時も、ブラッドプリンの援護
につけられますしね。

このブックには、ホーリーワード3という普段あまり使われないスペルが入っ
ています。なぜよりによってこれを採用したかというと、
イ.相手の土地を回避できる
ロ.こちらの土地を踏ませることができる
ハ.特殊地形に止まりやすい
ニ.同じ地形に配置しやすい
これらの効果が、ホーリーワード2や6(1は、イの効果が無いのでボツ。)
より優れていると考えたからです。実戦でも、このカードが決め手となって流
れを引き寄せた局面がありました。メズマされにくくもありますし、割と安心
して持ち歩けるという副次効果もあります。
ニについては、例えば初手でダイス2が出て南水土地へ行くとして、次ラウン
ドでホーリーワード3を使えば占い館横の水土地をとることができます。これ
がホーリーワード6だと、一気に飛び越えてしまって連続配置はできなくなっ
てしまいます。

ハについてですが、このブックはホープやプロフェシーといったドローカード
が一枚もありません。それは二つの占い館と、三体のフェイトにその機能の肩
代わりを期待しているためです。
フェイトでカードを引くために、城や砦に止まることは重要な意味を持ってき
ます。

レイクリープについては土地確保にもなりますし、相手のクイックサンドはめ
を回避する手段にもなります。実際、対戦会では危ないところを助けていただ
いたので(笑)手札に余裕があれば持ち歩きたい一枚です。


○不安定? だけど安定

アイテムは、グースを除けばウォーターアムルが一枚とグレムリンアムルが二
枚だけ。土地を守るためのカウンターアムルやらホーリーグレイルといったカ
ードはありません。なぜかというと、拠点はシーボンズに依存しているから。

魔力が溜りに溜まって、場にティアリングハローがない場合はボジャノーイが
拠点にもなりますが、急にティアハロを引かれたら守れません。悶絶します。
ので、ボジャノーイはせいぜいレベル2くらいに止めて、基本的に連鎖要員と
して扱って下さい。
あとは5枚もある地形変化スペルを使って強くなってくれるであろうアンダイ
ン君、配置できないクリーチャーをつけることでMHPが伸びるブラッドプリ
ン君が、土地の守りの頼みの綱。

このブックは「こうなったら負けない」という状況を作り出すための工夫を凝
らしてあります。それが成功すれば勝つ、失敗すれば負けるという思考法です。
パーミッションや相手の地形変化を切った後は、かなり安定した試合運びをで
きると思いますよ。


◇仮想敵に標準を定めて

解説、いかがでしたか。解りづらかったですか?

今回のブックは、仮想敵をしっかり定めて、彼らのコンセプトを潰す戦略で勝
負に出ました。マルセス以外のマップでやるとなると、カードをドローする策
だとかブックのメタだとかが変化するので、有効に機能するかどうか自身があ
りません。


最近作った中で、これは一番出来がいい方のブックだと思います。
やはり色々な想定をした上でブックを作る、という行程がいい影響を与えているようです。
このブックは私の中で、ほぼ完成形となっています。

(6/12追記)
しかし見返してみると、イエティとかプリンは微妙……
水がいないことを想定して組んでいるので、水土地の争奪戦にならない限りア
ンダインでけっこういけるかとも思ったのですが。若干の修正が入る余地はあ
りますね。


© Rakuten Group, Inc.