目を閉じると
ちょっと、変だった。 なんだか、さわさわして、胸騒ぎ。 目を閉じると、大きな二重まぶたが一個だけ見えた。 多分、女性の左目だな。 それ以上、見たくないから目を開けた。 真っ暗な闇。 ううん。 少し違うかな。 廊下の灯りが、一条の光となって入りこんでいたから薄闇だった。 目を凝らしてみると、寝室の中がぼんやりと見えた。 現実の世界は、眠る前と変わらなかった。 もう一度、目を閉じた。 顔も見ようと思ったけど、相変わらず片方だけの目が見えた。 少し恐くなって、飛び起きた。 電気をつけてうつらうつらしていたら、朝が来た。 目を閉じても、もう何も見えなくなった。 オレンジ色をした陽の光が、まぶた越しに見えた。