ホワイトデー
暖かい日差しを浴びながら、数ヶ月前から放置したままの引越しのダンボールを片づけている。 数ヶ月の間、一度も開けなかったダンボールなのだから、このまま捨てても支障はないのだろう。それでも貧乏性のわたしは、パンドラの箱を開けてしまった。案の定ガラクタばかりなのだけれど、電化製品の取説やいつのまにか集まってしまった腕時計が十数個出て来た。父親の形見であるオメガもあった。やはり捨てなくて正解だった。 とはいうもののガラクタが大半だったのに、大きなダンボールを二周りほど小さくして、また積み上げている。必要最小限のもので暮らしたいと思いながら、どうしても捨てられないものがある。これをサガというのだろうか。 それにしても暖かい。柔らかな日差しが、少しブルーな気持ちを和ませてくれる。この日差しがオレンジ色に変る前に、片づけを終わらせたいのだが、こうしてキーボードを打っているようでは、はかどるはずもない。 そういえば、今日はホワイトデー。 職場の同僚が、何にしようかと悩んでいたっけ。相手はどうやら、妻と子供らしい。平和な悩みに、思わず笑ってしまったけれど、こういう小さな幸せが一番なんだ。大事に大事にして欲しい。