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エピファニー

2017/04/03
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カテゴリ:鑑賞メモ
間取り図

先に、村上春樹さんの新刊『騎士団長殺し』の感想を書いた。

ちなみに、これまで書いたのは過去ログを追ってもらってもいいけれど、
ちょっと書き直して1本にした文章を下記に掲載したので、
もし「読んでみたい」と思ってくれる人がいたら、よかったら通し読みしてね!

⇒ http://ishiki-d.info/books-movies_2/#Kishidancyo



で、その後、「白いスバル・フォレスターの男」のことも
書いてほしいというリクエストをいただいたので、少し触れてみる。

作品の中にヒントを求めるとするなら、
この人物については「二重メタファー」
すわなち、「あなたの中にありながら、
あなたにとっての正しい思いをつかまえて、
次々に貪り食べてしまうもの、
そのようにして肥え太っていくもの」
ということが書かれている。



まぁ、ある種の「意識の暴走」と言ってよいかもしれない。

メタファー、すなわち「喩え」というのは1回だから有効なもの。

それが「喩えの喩え」になっていっちゃうと、
人を不健全な場所に連れていきかねない。

統合失調症の人の言動の断片だけを取り上げると、
一見正しいかのように見えるけれど、
それが果てしなく連鎖をしていくうちに
狂気の世界を膨らませていくように。



「暴走」というのは「過剰」ということでもある。

適切さをはみ出してしまった、行き過ぎ。
「過剰」という言葉を使うと、バタイユを知っている人ならば
『呪われた部分』のことを思い出すかもしれない。

人類は農業を覚えて、本来必要とする以上のものを生産し、蓄えるようになった。
それが「過剰」ということ。

「過剰」なものは必要とする以上のものだから、
それを消費する際に、「役に立つ」という束縛から人を解き放つ。

どんちゃん騒ぎで蕩尽したり、生殖を伴わないエロティシズムに人を誘ったり、
芸術や宗教や戦争という人間特有の行動を煽ったり……。

そこには妖しい香りが漂う独特の世界があるけれど、
どことなく不健全さを引きずり、
しばしば邪悪さが顔をのぞかせることすらある。

上にあげた諸々とじょうずに付き合うことのできる人は多くはない。



まったく別の、尾籠な喩えを使わせてもらうなら、
それは糞便のようなものでもある。

ものを食べるというのは、基本的に「よきこと」の追求だ。
栄養の摂取であったり、美食の楽しみであったり、
他者との分かち合いであったり。

でも、「よきこと」を追求した結果、
そこをはみ出してしまうものがある。
それが糞便。

生きていくために必然的に生み出されたものだけれど、
もし放置しておいたなら、甚だ芳しくないものが増殖をしていくだろう。

カバラではそれを「クリフォート(ケリポート)」と言ったりする。

それらは「思い浮かべるだけでも、危険で恐ろしい」んだけど、
「よきこと」を追求した結果、ときとしてそれらが生まれることは
知っておいたほうがいい。

つまり、家にはトイレが必要だということ。



「白いスバル・フォレスターの男」は、この作品の中で
何ら肯定的な役割を果たしていない。

にもかかわらず、この作品が成り立つためには
その存在が必要──村上さんの芸術的感受性が
そのように働いたものと思われる。

でも、それは糞便のようなものだから、
「いずれはそれと取り組む必要があるのかもしれないけれど、
 いまはまだくわしくその姿を明確にさせてはいけない」存在
ということになる。



『1Q84』では、もしかしたら天吾の父がその役割を果たしていたかもしれない。

導き手でもなく、乗り越えるべき壁でも、
倒すべき敵でもなく、盟友でもなければ、
傍観者ですらない。

天吾の人生の歩みにとって、
さらにはストーリーの上においても
何ら生産的な役割を果たすことなく、
一言でいうなら「困った人」としてそこに居つづける……。

ひたすらNHKの集金をするだけのために生きているかのような人物。

NHKの集金は「正しいこと」の象徴でもあるけれど、
天吾の父は健全な範疇を超えてその仕事に嵌まり込んでしまった
「クリフォート(ケリポート)」のような存在。



芸術作品が成立する際には、しばしばそのような「過剰」が必要とされる。

家を建てる際には、トイレを作っておかないといけない。
ことさらに、そこをクローズアップするのは適切ではないけれど、
でもやっぱりそれは必要なんだ。



それが無視できないほどの存在になった時には
統合すべき「シャドー(影)」として向き合う必要が出てくるかもしれない。

あるいは、それが「トリックスター(道化)」となってくれるなら、
「よきこと」を再生させる助けになるかもしれない。

でも、『騎士団長殺し』の世界においては、
出すものは出して、あとは流し去るのが適切だ──
それが「白いスバル・フォレスターの男」かな、と。



月例会=トーク&ワークのご案内です。

今月もまたワーク中心でいきたいと思っていますが、
ちょこちょこ初参加のお問い合わせをいただいているので、
はじめてのかたが無理なく入れるような
お話とワークからやっていこうかなと予定しています。

<名古屋>

■4月9日(日)13:00-17:00
■iccco(地下鉄東山線 覚王山)

<東京>

■4月18日(火)13:00-17:00
■八雲住区センター 第4会議室(和室)(東急東横線 都立大学)

■4月23日(日)13:00-17:00
■東山社会教育館 第1研修室(東急田園都市線 池尻大橋)


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Last updated  2017/04/03 11:07:58 AM

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Siriun = 松田 仁@ Re[1]:向上心のある人、ない人(04/07) ●パクチーさん そうです。 大切なのは、…
パクチー@ Re:向上心のある人、ない人(04/07) 初めまして。 私は向上心がない方の人間で…
吉田美香@ Re:13の月の暦◎テレクトノン入門/音秘姫さん(09/12) 初めまして、吉田と申します。今頃なので…
Siriun = 松田 仁@ Re[1]:新企画 格闘ちう!-2(04/23) ゼニール小田さん うん、それも考えては…

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