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エピファニー

2017/04/27
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カテゴリ:鑑賞メモ
響き合い

ちょっと前に、村上春樹さんの新刊『騎士団長殺し』の感想を書いた。

⇒ 以前に書いたものを整理して、こちらにまとめています。

たくさん書いたから、もういいかなと思ってたんだけど、
やっぱりあともうひとつ書いておきたいことがある。

それは「響き合い」ということ。



単純に言えば、この世は人と人の響き合いだ。

お互いに影響を与え、影響を受け、
あるいはその響き合いをとおして、
ハーモニーが生まれたり、不協和音が生まれたり……。



そんなことなら、わざわざ言うまでもなく、
誰もが先刻承知のことだろう。

ところが村上さんは、それを個人の単位だけでなく、
ストーリーや小説作品全体にまで拡げる。

あるストーリーと、別のストーリーの響き合い。
ある小説作品と、別の小説作品の響き合い。



たぶん、村上さんが明確にそれを意識しだしたのは
『世界の終わりとハートボイルドワンダーランド』
からじゃないかな。

この作品は「世界の終わり」と「ハードボイルドワンダーランド」
というふたつの話が一見脈絡なく交互に示され、
最後になってそれがつながる。

ぼくには、それがアートとして成功したとは思えなかったけれど、
『1Q84』における試みは美しい結晶をもたらすに至った。

<天吾の世界>と<青豆の世界>、
そして天吾と青豆が重なりそうで、
(そして重なってほしいという想いをかきたてつつ)、
なかなか重ならない、それが最後に……。





村上さんは、何度かひとつの作品の中で
ふたつの物語の響き合いにチャレンジしているけれど、
他の人の作品との響き合いも意識しているはずだ。

たとえば、『1Q84』はタイトルのみならず、
内容的にも明らかにジョージ・オーウェルの『1984年』を前提にしている。



タイトルをいうなら、『ノルウェイの森』もそう。
いわずとしれたビートルズのナンバーが背景にあるけれど、
ちなみに重箱の隅をつつくと日本における
ビートルズのタイトルは『ノルウェーの森』。

もともと村上さんは『雨の中の庭』という題名で
書き始めたらしいけれど、原稿を版元に渡す2日前に
奥さんに相談したら「『ノルウェイの森』でいいんじゃない?」
ということで急遽変更されたとか……。

ちなみに、『雨の中の庭』のほうはドビュッシーの
ピアノ曲に由来するタイトルらしい。
『雨の中の庭』だったら、あそこまで売れたかどうか^^

ちなみに、ビートルズファンのあいだでは
『ノルウェーの森』という邦題は誤訳じゃないかと言われている。

原題は“Norwegian Wood”。
森なら‘Woods’のはず。

まぁ、歌詞の最後に唐突に
Isn't it good, Norwegian wood
というフレーズが出てきて、
‘good’と‘wood’が韻を踏んでいるので、
ここはどうしても‘woods’じゃなくて‘wood’なんだけど。

そして、曲全体を聴くと、
これは女の子の部屋を訪れた男の子の歌だから、
部屋の中に森があるのはヘン。

ちなみに、英語では「ノルウェー産の材木」
という言葉には、安アパートの建材というニュアンスがあるのだそうな。

村上さんも当然そのことは知っていて、
それで日本にける洋楽タイトルとちょっとだけ変えたのか、
あるいは著作権の問題があったか……?

いずれにせよ、タイトルをそうすることで、
ビートルズの残り香が漂うあの時代と響き合い、
ブルーでやるせない、あの曲の雰囲気と響き合い、
青春の勢いで突っ走っていたビートルたちが
やがて複雑な屈折を見せはじめたバンドヒストリーと響き合う……。





そもそもぼくたちが色々なことを考えたり、
感じたりするそのしかたというのは、
すべてほかの誰かから学んだものだ。

オリジナルなものは何もない。

とくに、村上さんのような小説家であれば
そのことを痛感せずにはいられないはずだ。
どんな物語も、すでにいつかどこかで語られた
別の物語の焼き直しと順列組み合わせでしか作れない。

村上さんが、明確に他の人の作品との
響き合いを意識しはじめたのは『海辺のカフカ』
あたりからじゃないかな。

まぁ、「カフカ」という名前じたいが
フランツ・カフカとの響き合いだし、
内容的にもエディプス王の物語から、
さらには『源氏物語』や『雨月物語』などからの
転用があちこちに見受けられる。

ぼくたちは、他人の物語と響き合って生きている。





それを言うなら、今回の『騎士団長殺し』は
『ドン・ジョバンニ』との響き合いが大前提。

さらに、今回はとくにご自身の過去の作品との
響き合いも意識なさっている。

途中何度か「風の歌」というフレーズが出てくるけれど、
これはご自身のデビュー作。

「免色さん」という名前は『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』。

穴とか井戸とか森は村上作品の定番と言ってもいいアイテム。
そのことを、「村上作品を楽しむためのカタログ」と
評した論者もいるけれど、ぼくはその視点にはビミョーな悪意と
理解のズレを感じる。

いまの自分は、過去の自分と響き合っている。
響き合っているけれど、同じではない。
響き合いの中から、あたらしい別の何かが生まれてくる。

書いている村上さんもきっとそうだったと思うけれど、
読んでいるぼくもそれぞれの時代に村上作品を読んできた、
過去の読書体験と、その時代と、そのときの自分と
響き合いながら今回のあたらしい作品体験を深めていく……。





少し前、ポストモダン全盛期には
引用だとか、意図的な剽窃だとか、
表面的な形式で遊ぶことだとか、
音楽でいうとサンプリングなどが
ずいぶん流行ったものだ。

それはそれで面白かったけれど、
他の人や、他の作品に対する
愛やリスペクトは薄かったと言わざるを得ない。

軽やかさや戯れは、
生きることを雑に扱うこととは違う。

村上さんはポストモダンに染まることはなかったけれど、
でもその遺産のもっとも重要な要素を
しっかりとご自分のものにされていらっしゃる。





ぼくのこの独りよがりの文章も、村上さんと
そしてもちろんぼくがこれまで触れてきたたくさんの人たちとの
響き合いで書いているものだし、読者の数は
村上さんの1万分の1にも満たないけれど、
いまこれを読んでくれている「あなた」とも響き合えたら素敵だなと思う。




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■5月3日(水)13:30-16:30
■八雲住区センター 第4会議室(東急東横線 都立大学)

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つぎのような症状がある方は、
もしかしたらそうかもしれません……。

・頭痛
・頭骨の圧迫感
・心臓が絞めつけられる感覚
・熱っぽさ(場合によると高温の発熱)
・だるさ、やる気の低下
・注意力や記憶力の低下
・食に対する好みや適性の変化、食欲の低下
・原因不明の筋肉痛、関節痛

<名古屋>
■5月14日(日)13:00-17:00
■iccco(地下鉄東山線 覚王山)

<東京>
■5月28日(日)13:00-17:00
■東山社会教育館 第6研修室(和室)

■5月30日(火)13:00-17:00
■八雲住区センター 第4会議室(和室)

⇒ 詳細のご案内と、お問合せ・お申込みはコチラから



定番のワークショップ『スピリチュアルカウンセラー養成コース』は
リクエスト制です。

インターネットコースはいつでもどこでも。

対面準個人レッスンもおひとりから受け付けていますが、
もちろんゴールデンウイークもOKです。

また、ひたちなか市では下記の日程で新規クラス開講が決まっています。
よかったら合流可能です。

 5月18日(木)、29日(月)
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その他、地方開催も承ります。
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Last updated  2017/04/27 09:49:00 AM

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