最近、気が付いたことがある。
夜明け前の、たまたま半覚醒状態だった時の事である。
我が家の白猫ことしろにゃが、ベッドの枕元にやってきた。
そしてなんともか細そい、寂し気な鳴き声で私の耳元で鳴いた。
『ニャーンッ……』
……眠っていた私は無意識に腕を動かし、毛布を上げる。
しろにゃはスルリと私の布団の中に入り込んできて、私の腕を枕代わりに寝転んだ。
その後当たり前のように冷たくなった前脚、後ろ脚の肉球を私の腕に押し当てる。
私はまたしても無意識に腕を下げ、しろにゃを毛布内に納める。
腕を下げると、満足そうにしろにゃは私の腕に冷たい鼻や耳を押し付けて温め始めた。
グルグルと喉を鳴らし、やがて眠ってしまった。
ひんやりとしている私の腕はしろにゃの肉球や鼻や耳が温まる頃にやっと体温を取り戻す。
再び深い眠りに入る。
すっかり温かくなったしろにゃの背中はとても暖かく、そっと顔をおしつけると何だか優しい匂いがした。
ひとりといっぴきは幸せな冬の睡眠を迎えることができ……
ふと気づく。
私自身の意志では無かったと思う。
少なくとも眠っていた私に意識は無かった。
しかししろにゃのあの寂しげな鳴き声に反応して毛布内に引き入れたのは確かである。
しろにゃはいつの間に私にあの行動を躾けたのだろう?
猫は人間を躾けることがある。
人間が眠っている間、猫は何かをしているに違いないと思う。