2012/06/19(火)02:18
女の子を殺さないために 解読「濃縮還元100パーセントの恋愛小説」
女の子を殺さないために 解読「濃縮還元100パーセントの恋愛小説」
川田宇一郎・著
講談社 2012/3/1
ジャケ読みというか、タイトルに惹かれて読んだ。
恋愛小説ではなぜ女の子が死ぬかということを見事に読み解いた評論本。
素材は川端康成と庄司薫と村上春樹。
「ノルウェイの森」すら読んでないのでわかるかどうか不安でしたが、答えから問題を予測するような面白さ。村上春樹好き、読書好き、文芸好きだったらたぶんたまらないかもしれない。
村上春樹の「ノルウェイの森」って「ぼくがセックスしたせいで女の子が死んだ話」だったんだとか、庄司薫の「赤頭巾ちゃんに気をつけて」は最後までセックスしない恋愛小説を拒否した話だったんだとか。
何で女の子は死なないといけないかとか、恋愛小説におけるセックスの意味とか、それなりの答えが書いてあるのですが、それらの分析にヘッセ、サリンジャー、坂口安吾、J安部公房、石原慎太郎、柴田翔、蓮實重彦、斎藤美奈子、氷室冴子、内田春菊らの作品を強引に関係付けて論じてる。
大学院生の論文みたいではあるのだけれど、説得力あるし、その書き口も面白く。文藝評論をしてる人だけでなく、演芸評論でも映画評論でも評論に関わる人が読んでも勉強になりそう。