一人楽しく映画の日々

2012/12/05(水)15:47

精一杯の勇気だったのか

愛(12)

私が中学生くらいの時だったか、近所に小学校にあがる前の女の子二人と 病気で夫を亡くした若いお母さんが住んでた。 彼女は内職かなんかで細々と家計を支えていたのだろう・・・・ 子供の私にはその詳しい内情は知るよしもありませんでしたが、 でもその家計が厳しくつらいであろう気配は子供の私にも充分伝わってた。 ある夕方、きれいな着物を着た彼女を見かけた。 あの慎ましく若いお母さんが、バーで働き始めた、と私の親が話してるのを聞いた。 私の家庭での“バー”と言う名称がどれほどいかがわしく聞こえたことか・・・ あの、窓から垣間見えた、薄暗い家の中で見かけた編み物かなんかをしてる彼女とは 着物を着た彼女は別人みたいに、晴れやかにさえ見えたのは私の気のせいだったのか、 彼女の精一杯の勇気だったのか・・・ 家計の苦しさからどんな手段にしろ逃れられたのがうれしかったのか・・・ 私の家はまもなく引っ越したので、彼女達家族がそれからどうなったのか、何もわかりません、遠い昔のことですね。 今は少しは社会状況が豊かになったんでしょうか・・ いいえ、それほど変わったとは思えませんね。

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