2012/12/12(水)15:28
映画 “すべて彼女のために”
タイトルは“ラスト3ディズ~”というのがメインみたいですが、
“すべて彼女のために”これは映画会社にしてはなかなかよくつけられたタイトルです。
甘い響きの言葉の中にも激しさや厳しさが感じられる・・・・
内容もタイトルにぴったりでしたからね。
恋人じゃなく夫婦の話、これがすごい愛の力を感じる逸品で、最後まで楽しませてくれました。
最近のフランス映画にしては良い出来で“ミレニアム”に続く傑作だと思いましたね。
殺人の冤罪を着せられた妻を脱獄させようとする平凡な教師の夫、と言う設定ですが
これが平凡どころじゃない、脱獄経験を書いた男に会いに行ったり、
脱獄後の金を工面するためにギャングのボスを殺してしまったり・・・
それも、美しく心から愛する妻の無罪を信じるがための、
妻の身を案ずるがための緻密な脱獄計画のはずだったのが、
突如妻の身がよそに移ることになる事からあわててしまったわけです。
夫が3才の息子と刑務所に面会にいくシーンがあるのですが、
息子は母親のキスも、顔を見ることも嫌がる、と言うなんとも悲しい場面です。
その妻、インスリンを打ってる糖尿病患者という、これまたドラマになりやすい糖尿病が出てきましたが、そのインスリン治療を、冤罪に絶望した妻は拒否してしまう。
その医療措置をするための移送ですね。
最後には破れかぶれとも思える行動で、妻が移送された病院に行って妻を連れ出して逃げる、という、刑事ドラマではまあ考えられますが、普通の市民という撮り方をしてる映画ですから
これが迫力があって真実味があってドキドキしてしまいます。
妻は、夫の行動が信じられず、最初は行けないとなだめるわけですが、
ここまできたらもうやるしかない、と言う感じで・・・
いやあ~、男っぽかったですねえ。
美人の妻とは正反対のブ男もここまでやるとブ男なんて思いません。
男の中の男です。
危機一髪、外国に逃れられたので、このときの安堵感、さわやかさ・・・
すばらしかったですよ。
男も女もやはり勇気と言うものは美しいです。
私の希望としては、親子三人めでたく逃亡を果たしたうえで、何年かしたら真犯人が捕まる・・・と言う結末にしてくれたらもっとうれしかったんですけどね。
久々の面白い、平穏な生活の中に潜む危険なミステリーでしたよ。