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きょうのめいぷる

きょうのめいぷる

依頼人の証言

あれから2時間後。


何故だか皆呆けている。
まあ無理もないと思う。500万円だし。

こう、さらっと言っている様に見えて、自分も激しく動揺していたりする。
そして同時に、使い道を考えていたりする。


・・・アニメグッズがいくつ買えるだろう・・・



脳内で買い物開始。
うふふ、あれ買ってこれ買って・・・ぁあ、これ可愛い。即買い。


うふふふふあははははははは・・・・☆


空想の世界に入っているところを、所長に引き戻された。


ト「どうした?熱でもあるのか?」
楼「あ、いや。なんでもありません。」


そんな、なんだか夢見心地な感じで一日は過ぎて行った。

++++++++++
翌日。

依頼人がやってくる時間。

こんこんっ、と、軽く戸をノックする音が響いた。


昨日と同じく自分が出なければ、と言う妙な使命感を感じてしまったので、小走りで戸に近づいた。
後ろからは所長が満面の笑みで見つめている(様な気がした。)

楼「依頼人の方ですよね?どうぞお入りください。」
依頼人「あ・・・はい。失礼致します・・・」

とりあえず依頼人を応接室へ通し、私達三人も黒い大きなソファに腰を下ろす。

所長がいつになく真剣な面持ちで依頼人に聞いた。

ト「初めまして。私はここの所長をやっています、トーティスです」
こ「私は所長助手をやってます、こうたです。」
楼「私は・・・秘、秘書?やってます、楼羅です。」
依頼人「は、はい・・・私は中小企業の社員の煉議と言う者です。」

ト「で・・・失礼かもしれませんが、煉議さん、本当に500万円を出してくださるのですか?」
煉「あぁ、はい・・・それくらい、私の命が助かるのなら・・・」
ト「ふむ・・・」
楼「(・・・命?ストーカーにしては悪質な方ね・・・)」
こ「(死ぬか生きるかな問題になってくるのか・・・こりゃ面倒だな。)」

暫くの沈黙の後、トーティスが口を開いた。
ト「・・・では、お聞かせ願います。事の次第を。」
煉「あ・・・はい。わかりました・・」


煉「あの日は・・・会社で残業があり、いつもより1時間ほど遅く帰ったんですが・・・・天気も悪く、しかも街灯が壊れていて暗かったので・・・とても気味が悪かったんです・・・」

ト「ふむ・・・」

煉「私は早足でその場を通り過ぎようとしました。半分くらいまで歩いてくると、人の声が聞こえたんです。」

楼「・・・お化け?」
こ「いやいや・・・」

煉「最初は私もそんな風に思ってしまいました。でもよくよく聞いてみると、路地裏の方からその声が聞こえてきたんです・・・私はなんとなく気になって、近くに行って聞こうとしました。」

楼「でばがめ・・・って、イタイイタイタイごめんなさい。」

所長に足を踏まれた。
だって話が怖かったから、明るくしようと....。

ト「失礼しました。どうぞ続けてください。」

煉「あ、はい・・・ええと、会話はよく聞き取れなかったのですが、2人程の男が口論をしている様でした。私はもっとよく聞こうと思い、動いたのですが・・・傍にあったゴミ箱の蓋を思いっきり踏んでしまって。」

ト「・・・はぁ。」

煉「大きな音がしたんですよねー・・・そしたら男達はこちらに気づいたようで。私の方に向かってきたんですよ。『誰だ?』とか言いながら。で、私はそこで怖くなって逃げてしまったんですよね・・・」

楼「ふむ。」
こ「男が何を言っていたのか思い出せますか?」

煉「あぁ、ええと・・・確か『言うとおりにする』とか、『裏切るな』だとか・・・」

ト「ふむ。」
こ「何かの組織でも絡んでるんですかね?」
楼「組織・・・って言ったらやくざとか暴力団とか・・・?」
ト「その可能性も無い訳ではない、な。」

煉「あ、まだあるんです。その一週間後の話なんですけれど・・・」

ト「ふむ?」

煉「私が会社で仕事をしていると、突然私宛の電話がかかってきたんです。それで電話口に出たら・・・」

楼「奥さんからの他愛もない話で和んだ、と。」
ト&こ「おい。

煉「・・それなら良かったんですけどね。電話はこの間の男からでした。それで、一言『あの日の事は忘れた方が身の為だ・・・煉議さん』」

ト「・・・何故相手側は貴方の名前と会社の電話番号が判ったのだろう・・・」

煉「あぁ、それなら・・・どうやら名刺を落としてきてしまった様でして。多分それを見て電話かけたんだろうかと。」

楼「うぁー、リーマンさながらのミスだねぇ、名刺とかって。」
ト&こ「お前は黙っとけ。

煉「で・・・その日からなんだか、後を付けられている様な気がして。気味が悪くて仕方ないんです・・・」

ト「ふむ・・・ならここに来ているという事も、相手側には伝わっているのでは・・・?」

煉「それなら大丈夫です・・ちゃんとまいて来ました。ヘイストで。

ト「あ・・・はい、そうですか・・・」
楼「へいすとって何ですか?」
ト&こ「摘み出すぞ。


ト「ふむ・・・とりあえず粗方判りました。お受けいたします、この仕事。」
煉「本当ですか!?」
ト「ええ。煉議さんをとりあえず守ればいいんですよね?」
煉「ええ・・・まぁ・・・」
楼「(アバウト・・・)」


煉「あ、これ受け取ってください・・前金です」
ト「これはこれは。有り難く頂戴いたします。」
こ「(遠慮を知らないのか・・・)」

所長の手に渡ったものは茶色い封筒だった。

楼「あ・・あの、連絡を取り合いたいので連絡先をお伺いしても宜しいでしょうか?」

所長が封筒(現ナマ入)を恍惚の表情で握り締めているので、かわりに自分が聞いてみた。

煉「あ・・はい。では名刺をお渡ししておきます。」
楼「有難うございます。」
名刺を受け取る。ふむ、なかなかいい紙だ。


煉「それでは・・・私はそろそろ。お願い致します・・」

深々と頭を下げて、依頼人は帰って行った。








楼「・・・ふぅ。」
ト「・・・へぇ。」
こ「・・・はぁ。」

楼「・・この仕事ってさぁ・・?」
ト「・・・・・」
こ「かなり・・・面倒だよね?」
ト「・・・・・・・・・・」


ト「500万円。


楼&こ「頑張りましょうっ!所長v
ト「現金だな、お前ら・・」

楼「ところで。茶封筒を開封してくださいよ!」
こ「俺達の生活かかってるんですからっ!早く!」

ト「へーへー・・・ぉ、10万円ってところかな?」

楼「おおー!」
こ「いいですか所長、きっちり3分割ですよ?」
ト「わかってるって・・・・がめついなお前ら。」

楼&こ「生活かかってますからっ!!」




その後所長が、一人だけで美味しい物を食べに出かけようとしているのを発見した。
とりあえず軽く睨んでおいた。うん、効果絶大☆


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