東方私封闇(原版)……暗い、暗い、夜のとばりよりもなお深い、全てを自分の色に染め上げて、包み込んで消してしまう漆黒の闇。「私」は今、その闇のまっただ中にいる。 闇は、どこまでも広がって、山を、森を、里を、全てを飲み込んでいく。 この闇は、私が生み出したもの。 これが、私の本当の能力。 あまりにも強すぎて、封印されてしまったほどの力。 私の闇は、私の住む世界を覆っていく。 ……でも。 私の闇は、本当は違う。 私の闇は、悪の象徴の闇でも、何かを奪う闇でも、虚空の闇でもない。 私の闇は、周りの余計な色をその内に取り込んで、周りに安らぎと安心を与える闇。 ……それが、本当の闇。 だから、今の私の、世界を飲み込む闇は違う。 それだったら、こんな力はないほうがいい。 それが、たとえ封印が解けて解放された本当の私だとしても。 ……私は、この世界が好き。 出会ったみんなが大好き。 だから、それを奪ってしまうような力は、私は嫌。 私は、自分自身の闇を振り払って、神社へと向かう。 そこにいる人間が、私の体の闇と心の闇を再び封印してくれることを信じて。 ……時が来るまで、永遠に。 読み物系一覧に戻る ジャンル別一覧
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