2009/09/02(水)21:56
辰巳芳子さんの「味覚日乗」「味覚旬月」
久しぶりに辰巳さんの本を手にとりました。
辰巳さんの随筆に出会ったのは、今から12年ほど前のこと。
実家に戻り、図書館通いを始めていた頃のことでした。
料理本のコーナーで何とはなしに本を探していて出会ったのが「味覚日乗」でした。
あの当時は装丁本で、今私が手にしているのはちくま文庫からの文庫本。
辰巳さんのものの考え方が好きになり、いろいろと本を手に入れました。
実際に作ってみたこともあるし、本を眺めるだけでも満足していました。
本物を知っているからこそ、妥協せず、かといって全てを昔のやり方でいいとはせずに
できるだけ現状を認識して工夫を加える。
このような姿勢がとても好きです。
久しぶりに本を読んで思い出しました。
辰巳さんのように考え、行動する人になりたかったことを。
そして、今からでも遅くないということを思い出しました。
いつでも遅すぎることなどないのだということを。
食べるということに対する姿勢
食べてくれる人、食べてもらいたい人に対する深い慈愛
食材への感謝と愛情、そして次世代への展望
私はあのとき、この本を通じて、この辰巳芳子さんの世界に魅了されました。
それは何も特別なことではなく、ごくごくありふれたことであること。
そして誰にでも判るはずの話であること。
そういうふうに私は生活したいと思ったことを思い出しました。
生きることは食べること。
他の生き物のいのちを頂くということは、その生き物の分も生きるということ。
私はそのことをすっかり忘れていたようです。
頭だけで物事を考えていて、感じることを忘れていたようです。
もっといろんなことを肌で感じながら生きていきたいと思いました。