「恋する組長」 笹本 稜平
2007年05月 光文社より2002年~2006年 「小説宝石」に掲載短編集で 死人の逆恨み 犬も歩けば 幽霊同窓会 ゴリラの春 五月のシンデレラ 恋する組長6話を収録。主人公は探偵。といってもスマートな知能派ではなく、主な顧客はヤクザという便利屋。小さな事務所を、事務アルバイトの由子と細々と経営しています。中年(たぶん)で、年相応に冷めて、かといってクールなわけでもないあたりが人間味に溢れていて、なかなか好感が持てます。主人公だけでなく、キャラクターがみんな味があります。由子はちゃっかりで脳天気。暴力団対応の警察官・ゴリラはヤクザ達から袖の下をもらい、組長に媚びながらも美人の妻にメロメロだったり。「犬も歩けば」に登場した組長もおもしろかった。飼っている犬が行方不明で、本当は市内を広く探し回りたいんだけど他の組のシマに入ってしまうとモメ事の種となるので、探偵に捜索を依頼する。「そのワン公を探せと?」「ワン公じゃねえ。ベルちゃんと呼べ」と親バカっぷりを見せたり。どの話もそんな感じで、軽く読める娯楽本でした。