「1Q84 1-3巻」 村上 春樹
2009年05 新潮社より村上春樹を初めて読んだんですが、よくわからない話ですね。会社の人に「村上春樹ってどんな話を書く人?」と尋ねたら、「不思議な世界で、繊細な主人公に特別な力があって、不思議ちゃんと一緒に 君は(自分は)特別だよ、みたいな話」と。日本語として聞くと意味わからないですけど、読んだ今は「あー、まさにそれ!」と思います。全3巻あって、554頁ある1巻目の2/3くらいまで読まないとジャンル(ミステリ?人情ドラマ?ファンタジー?)も、どういう方向に行きたい話なのかもわかってこない。1巻目の終わり近くでようやく、そうかファンタジー設定なんだなとわかりました。そして全部読み終わってしばらく考え、そうか恋愛小説だったのかも、と。読んでいて嫌になる程ではなかったけど、特別おもしろくもない話でした。私には向かない作家さんだったようです。私、もっとはっきりした話の方が好きなんですよね。【楽天ブックスならいつでも送料無料】1Q84(BOOK1(4月ー6月)) [ 村上春樹 ]価格:1,944円(税込、送料込)以下、粗筋と感想になります。ネタバレに注意。主人公は川奈天吾と青豆雅美。2人は小学校の同級生で、10歳の時に手をつないだ記憶を互いに大事に抱き続けている。天吾は小説家の卵で、塾の数学講師で生計を立てている。ある時、編集の小松から、ふかえり(深田絵里子)という10代の少女が書いた新人賞候補作の「空気さなぎ」という小説のリライトを持ちかけられる。倫理的にそれはいけないと思いつつも、小説を読んだ天吾は「空気さなぎ」に強く心を惹かれリライトをせずにはいられない気持ちになり、ふかえり及びその保護者の了解を得て「空気さなぎ」を書き直す。天吾の書き直した「空気さなぎ」は爆発的にヒットする。ふかえりは美人の不思議ちゃん。「空気さなぎ」のストーリーは、ふかえりの実体験を書いたもの。月の2つある世界で、リトルピープルという6人の小人が特定の人物に超能力と予言を与える話。特定の人物とはパシヴァ(英語のperceive=知覚する)と、レシヴァ(receive=受け入れる)で、ふかえりが作り出した自分の分身がパシヴァで、ふかえりの父親がレシヴァ。父親はその力により、新興宗教のリーダーとなっている。青豆はスポーツインストラクターで、人体の構造・働きを熟知してアスリートのマッサージを行っている。鍼治療にも精通しており、1本の鍼を首の後ろに差し込むことにより、何の痕跡も残さずに人の命を奪うことができる。その特技を使って、マダムの依頼で時々、人を殺すことを引き受ける。マダムは資産家であり、有能な実業家。娘が1人いたが、娘は夫のDVにより自殺。以後、マダムはDVに悩む女性の避難所としてセーフハウスを立ち上げると共に、目に余る男の排除のために、青豆に殺人を依頼する関係。青豆はある男を殺しに行く途中で、高速道路の渋滞にはまり、男との待ち合わせ時間に遅れそうになる。するとタクシー運転手が、この先に高速から降りる非常口があるから、ここで降りて非常口を使ったらどうかと進める。その通りに非常口から降りた青豆は、それにより月の2つある世界に入り込んでしまう。元の世界によく似ていながら、少しずつが違う、そしてリトルピープルのいる世界。そこで青豆は、マダムの依頼でふかえりの父親を殺しに向かう。彼は青豆が自分を殺しに来ることも、それによってリトルピープルの力を弱めることができることも全て承知で、青豆に自分を殺して欲しいと依頼。青豆は彼を殺し、それにより宗教団体から追われる身となる。一方、天吾も宗教団体からの干渉を受けている。ふかえりと交流があることと、「空気さなぎ」の出版がリトルピープルの力を弱めることに役立っていたことが理由。そして、天吾も知らない内に月の2つある世界へ入り込んでいた。そして天吾と青豆は互いを捜し出すことを決意。すれ違いの末に2人は出会い、手を取り合って、青豆が通ってきた高速の非常口を逆に辿って共に月の2つある世界から抜け出す、という話。孤独な魂が、困難をくぐり抜けて運命の定めた特別な相手に出会い、幸福感の中自分達のいるべき世界に行き着く、的な恋愛小説?性的描写(エロ描写)が無駄に多いのも恋愛小説なら、まあ仕方ないか。登場人物は主役・脇役ともに個性がしっかり立っていて、悪くありません。気弱で優しい天吾とか、クールでタフな青豆さんとか。マダムのボデイガード兼秘書でタマルという男性が結構好きでした。クールで裏世界に通じたプロ。頼りになるし、クールだけど冷酷ではなく、大事なものをしっかり守っていこうとするタイプ。天吾の父親がNHKの集金人で、時々出てくるんだけど、何がしたかったのか、何かの象徴として見せたかったのか、結局どうなったのか、役割がさっぱりわからない。表面的な意味はわかるけど、何を伝えたいのかさっぱり見えてこない話でした。私はあんまり繊細な性格じゃないから、この作者とは直接話したとしても何言われてるかわからないだろうと思いました。