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カテゴリ:読んだ本
短編5編からなる落語ミステリー(という呼び方があるらしい)です。
主人公は、落語の機関誌を出版する編集部に入社したての若い女の子で、 同部署の編集長がである年上の男性が探偵役。 ストーリーは女の子の見聞きしたことを中心に描かれ、事件の謎がわからない彼女に 編集長がすらすらと謎解きをしてみせる、という形です。 が、キャラクターに魅力が乏しいというか・・・女の子の存在意義がよくわかりません。 この子、必要なの? 別に彼女を介さなくたって、直接探偵登場でいいじゃん。 そして、探偵役の編集長もイマイチなんですよね。 女の子が「知性的、頭がいい、鋭い」と文章中で褒めているんですが、 読んでいるこちらにはそれが伝わってこない。 あと、ミステリーなのに推理が強引で、ムリがある感じです。 その状況だけじゃ、その推理は絶対出てこないのでは?、というのが連発。 どちらかと言うと、アニメの『名探偵コナン』とか『金田一少年の事件簿』とかのノリかな。 理路整然とした謎解きではなく、矛盾点があっても気にしな~い、という感覚でないと読めません。 話ごとに落語のネタが紹介されていて、それはおもしろいんですが、それとストーリーとの関連が ムリヤリのこじつけっぽいのもちょっとな~。 まあ、ヒマつぶしにはなるけど、この作者の本はもう手に取らないと思います。 私的に収穫と言えば、紹介されていた「三年目の幽霊」という落語が可愛かったことだけでした。 「三年目の幽霊」 仲のいい夫婦がいて、病気で妻が死んでしまうんです。 妻の唯一の心残りは、自分の死後、夫が自分を忘れて再婚するんじゃないかということ。 それを聞いた夫は、再婚はしないと約束し、もし約束を破ったら婚礼の晩に、恨んで夢枕に立つと いいと言う。 妻の死後、夫はしばらく一人でいるんですが、親戚の奨めを断り切れず再婚してしまいます。 その晩、夫は妻が夢枕に立つのを待っているんですが、妻は現れない。 「遠いところから来るんだから、2~3日はかかるかも」と思って夫は待ちますが、結局来ないまま。 それが、3年たった頃に夢枕に妻が現れるんです。 夫がどうして今頃現れたのかを尋ねると、妻は 「自分の葬儀の時、親戚への形見分けで髪を剃られてしまった。だから伸びるのを待っていた」 というオチ。 可愛い噺で、好き♪ ちなみに『金田一少年の事件簿』を見ていて、一番驚いた推理がコレ↓。 金田一くんが、「男にしか不可能な事件の犯人が、実は女装した男だった」と見抜くんですが、 その理由が 「トイレの便座が上がっていたから」。 で、「犯人はおまえだーっ」とか言いながら、犯人の服を引き裂いちゃうんですね。 びっくりしましたよ~。 だって、気分悪くなってトイレで吐いたのかもしれないし、汚れが気になってちょっと掃除をして 下ろし忘れたのかもしれない。 または、その人の家ではお父さんやお兄さんといった男性に合わせて、便座は上げておくお約束で そのクセで、つい上げちゃった(実際、私の知人にいる)のかもしれないじゃないですか。 え?それだけの理由で?金田一くん、思いこみ激しすぎ~、と思いました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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